川口いじめ 市教委が作成文書240カ所を訂正 経緯や学校対応など
柏崎智子 (2022年8月23日付 東京新聞朝刊)
埼玉県川口市立中学校の元生徒の男性(19)が、自身のいじめ被害について市教育委員会や学校が作成した文書に多数の誤りや虚偽があるとして訂正を求めた問題で、市教委が全面的に応じたことが分かった。男性の母親の森田志歩さんが22日、記者会見し明らかにした。
母親の印象を悪くさせる記述などを訂正
対象の文書は、いじめの経緯や学校の対応の報告書などで、市教委は約240カ所を訂正。日付や名前の誤記のほか、学校の対応について重要な部分が違っていたり、母親の印象を悪くさせる記述もあった。
男性が不登校になった2016年9~12月について、元の文書には、学校側が男性に会いたくても「母親は拒否し続け、本人に会えない状態が続いていた」と書かれていたが、森田さん側が提出した録音データなどで、11月に校長が家庭訪問し男性と直接話していたことが判明。「会っていた」と訂正された。
また、18年3月の市教育部長の記者会見に森田さんが「乱入」したと書かれていた部分も、市教委職員の許可を得て同席していたことが当時の職員の聞き取りで分かり、削除された。
男性のいじめを巡っては、県警武南署も事実と異なる文書を作成し2回訂正した。森田さんは「息子はいじめ以上にうそをつかれたことに苦しみ、精神障害を患った。今回の訂正で、正確に書いてほしいという思いはかなったが、息子が癒やされることはない」と話した。
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