袖ケ浦の施設で障がい児の生活を支援 弓場さんに贈られた「ヒーロー」の称号
10代の少年と関わって
千葉県内で1人選ばれたのは、社会福祉法人佑啓会(ゆうけいかい)所属で今は「ふる里学舎青年寮」で働く弓場洸紀(ゆばひろき)さん(25)。何らかの事情で家庭で過ごすことのできない障がい児たちに向き合う「ヒーロー」だ。
大会で報告する事例は、成育環境が原因で触法行為を繰り返していた10代の少年だ。入所してしばらくは「めちゃくちゃ良い子」だったが、1カ月ほどして慣れてくると喫煙を望んだり、ストレスで物に当たったり、自分を傷つけたりした。マニュアルのない現場で弓場さんは正面から向き合った。
「なぜ悪いことをしてはいけないか」。その子と一晩一緒に考えた。「彼なりに『このままじゃいけない』と必死に考えてくれた」が、すぐに答えは導き出せなかった。1カ月間、様子を見つつ、弓場さんは自身の経験も振り返った。
弓場さんは母子家庭に育ち、母親から愛情を注がれた。ただ、中学生の頃に制服を着崩したり、授業を適当に受けたりしたことはあった。すると、学校で物がなくなるトラブルがあった時に「おまえたちじゃないか」と疑われた。
悪いことをすると信用をなくす。本当に困った時や何か疑われた時に、信頼されていないと助けてもらえないし、信じてもらえないと痛感した。少年に切々と訴え、「普段からコツコツと生活した方が、何かあった時に助けてもらえる」と伝えた。
少年は、掃除を手伝ったり、幼い子の面倒をみたりと変化が見えた。この数カ月、しっかり続いている。部屋の片付けもする。「将来、一人暮らしすることをイメージしている」。弓場さんの目にはそう映る。
こうした体験を大会で紹介する予定の弓場さんは「社会に出て、皆さんと一緒に暮らして働くことを目指して頑張っている。子どもたちのそんな姿が伝わるとうれしい」と語る。
全国大会は28日午後1時から。ゲストは人気俳優の松本まりかさん。YouTubeライブ配信(大会公式サイト「社会福祉HERO’S」で案内)も予定している。
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