小金井市が保育所10施設に計4000万円の過大支給 開設や増床の補助金申請で「ずさんな審査」

花井勝規、奥野斐 (2023年4月26日付 東京新聞朝刊)
 東京都小金井市は25日、2016年度以降に新規開設や増床が行われた市内の保育所計32施設のうち、10施設(8法人)に計約4000万円の補助金を過大支給していたことを明らかにした。1施設に対する過大支給額は最大で1768万円に上る。待機児童対策のための保育所急増に伴い、申請のチェックが甘くなったとみられる。

不正受給の「コスモズ」以外にも

 小金井市内に本部を置く保育所運営会社「コスモズ」が三鷹市や小平市など4市区で補助金を不正受給していた問題を受け、小金井市は市内の保育所を調べ、25日の市議会厚生文教委員会で報告した。

 市によると、補助金はコスモズの「第十コスモ保育園」に支給された96万円など、1施設当たり7万円から1768万円とばらつきがあった。コスモズ以外の法人名などは非公表。工事の申請件数が特に増えた2020年度以降、職員の異動も重なって審査態勢が甘くなり、補助対象外の外構工事費などを除外せずに支給していたケースが多かったとされる。

 市担当者は「事業者から工事明細書を取り寄せないなど、ずさんな審査が目立った」と話している。市は5月に各事業者と過大支給分の返還について協議を始め、6月には過大支給の総額を確定させたいという。

不正の意図がないケースも 自治体側の人員不足では?

 保育所に関する補助制度は、自治体により要件や対象が違うなど複雑な上に、行政の待機児童対策に伴って新規参入した不慣れな事業者も見られる。このため事業者側に不正な意図がなくても、補助対象の範囲を誤って申請し、自治体側がミスを見過ごして過大支給となるケースもある。

待機児童対策で施設も業務量も増加

 保育行政に詳しい保育研究所常務理事の逆井(さかさい)直紀さんは「待機児童対策で保育施設が増え、業務量も急増した。だが、それに対する自治体側の人員や態勢が不十分だったのではないか」と指摘する。

 小金井市の今回の調査では、32施設のうち10施設で過大支給が見つかった。逆井さんは「保育に精通していない事業者の申請や、新規開設の場合は、子どもの育ちを守る観点からも特に自治体側の丁寧な関わりが求められる。過大受給を見抜く監査体制や職員の養成も重要だ」と語る。

 また、こども家庭庁の担当者は、過大支給をなくすため「国としても事務の簡素化は課題だと考えている」と話した。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年4月26日

2

なるほど!

0

グッときた

1

もやもや...

0

もっと
知りたい

あなたへのおすすめ

PageTopへ