共同親権「子への医療行為に配慮を」 緊急時は一方の親の同意で済むように 医療関係4団体が法相に申し入れ

大野暢子 (2023年9月2日付 東京新聞朝刊)
 離婚後も父母双方が子の親権を持ち続ける「共同親権」の導入を巡り、日本小児科学会や日本産科婦人科学会など医療関係4団体は1日、斎藤健法相と面会し、子への医療行為について、早急な医療が必要な時は一方の親のみの同意でできるようにするなど、子の生命・身体の保護に配慮した制度設計を要望した。

適切な医療ができない恐れ

 要望書は、共同親権の「趣旨・理念は理解する」としつつ、両親が離婚した子が病気やけがをした場合、医療行為について医師らが両親の同意を得なければならない仕組みでは、適切な医療ができなかったり遅れたりする恐れがあると指摘。主に子を世話する一方の親の同意でも、例外的に医療を認めるなどの措置を検討するよう求めた。

 法制審議会の議論では、ドメスティックバイオレンス(DV)や子への虐待があった場合は単独親権とする制度が有力視されているが、この点に関しても「暴力が認定されていなくても、現実には精神的支配が行われているような状況下で共同親権となった場合、適時に両親から同意を得られない可能性がある」と懸念を示した。

 斎藤氏は「子の利益を最優先で守るという考え方は、法制審の委員と共有できている」と応じた。

 法務省は8月下旬、法制審の部会に(1)父母の協議で離婚する場合は単独親権か共同親権かを選ぶ(2)意見が対立した場合は家庭裁判所が子の利益の観点から決定する-といった民法改正案の方向性を示している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年9月1日

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