子どもの絵が語る、戦争と平和の色 強烈な対比…苦しい感情をぶつけるかのよう
「戦争は最大の児童虐待だと思う」。国際アートセラピー色彩心理協会(東京)の共同代表・末永蒼生(たみお)さんは、来日したウクライナの絵本作家夫妻を招いて9月に開いたワークショップでこう訴えました。
同協会は、大きな災害や事件が起きた際に、アートを通して現地の子どもたちの心をケアする活動をしてきました。末永さんは「災害や紛争を経験した子どもたちは、目の前の現実と平和だった日常を、一枚の絵の中に対比させるように描くことがよくある」と説明します。左側には青い空と緑の大地、右側には爆撃を受けて燃え広がる赤。ウクライナから日本に避難した少女の絵をテレビの報道で目にし、強烈な対立の色使いが、阪神大震災で被災した幼児の絵に重なったそうです。
その幼児は、右側には家があり猫のいる平和な日常生活を、左側には×印をつけた家と真っ赤に塗りつぶした動物を描き、苦しみを描いた左側をはさみで切ってしまいました。末永さんは「あまりにもショックの大きな出来事を頭から切り離すことで、自分の心を守ろうとしている」ための行為だと解説しました。
戦争や災害だけでなく、いじめで心が傷ついた子どもたちにも同様の傾向がみられます。感情をぶつけるかのように描かれた絵を前に、大人たちは「恐ろしい絵を描くのをやめなさい」と言いがちですが、自由に絵を描くことで、子どもたちは少しずつ心を癒やし、感情を出せるようになっていきます。末永さんは「苦しい時に感情を全部出せること、それをわかってもらえることは内側から心を再生する力がある。それを引き出すのがアートだ」と話します。
イスラエルとガザの紛争が勃発して1カ月。これ以上、赤や黒の色が広がらないように、子どもたちの心を守るのは大人の役目です。
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