共同親権で子育てはどう変わる? 転居、アルバイト、予防接種…「急迫」でなければ離婚後も両親の協議が必要に 参院で民法改正案の審議中
協議で合意できないなら家裁が決定
ーそもそも親権とは。
子の世話や教育、どこで暮らすかの決定、財産の管理などを行う親の権利・義務のことです。予防接種や手術の同意、アルバイトの許可も含みます。現行法は婚姻中の父母にはともに親権があり、離婚後の親権は一方にあると定めています。親権を持つひとり親は現在、単独で子育ての判断ができますが、共同親権では元配偶者との協議が必要な場面が生じます。
ーそれはどのようなケースですか。
例えば、緊急性の低い医療行為や引っ越し、パスポートの取得などは原則、片方の親だけでは決められなくなります。話し合っても合意に至らなければ家裁が決定します。
ー常に育児の相談をする必要まではないということですか。
食事や子の習い事の選択、ワクチン接種、アルバイトの許可などの日常的な行為に加え、「急迫の事情」がある場合は不要です。
既に離婚した人も、申し立てができる
ー「急迫」とは具体的にどういう事例になりますか。
協議や家裁の手続きを経ていては、子の利益を害する恐れがあるときです。緊急手術や入試の結果発表直後の入学手続き、暴力からの避難などです。
ー離婚後は一律に共同親権になるのですか。
協議離婚なら父母が共同か単独かを話し合いで選びます。裁判で離婚する際は、家裁が親子や父母の関係を踏まえ、子の利益になる方に決めます。
ー既に離婚した人は法改正と無関係ですか。
共同親権に変えるための申し立てはできます。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の恐れ、正当な理由のない養育費不払いは、変更が認められない理由になり得ます。
子どもが争いに巻き込まれ続ける懸念
ーなぜ改正されるのでしょうか。
離婚で子と疎遠になった親らに、単独親権しか認めていない現行法への不満が強いためです。離婚後も子育てで助け合う父母が増えれば、子の利益になるとの期待もあります。
ーどういう課題がありますか。
離婚する父母は感情的な対立が深いことも多く、子が争いに巻き込まれ続けたり、子を巡る重要な判断が遅れたりすることを懸念する声もあります。
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