〈大滝麻未さんの子育て日記〉4・育児とキャリアの両立 2人目を出産しても「自分が好きな自分」であるために

(2024年8月14日付 東京新聞朝刊)
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2021年10月、長男の出産3週間前、最後の練習日 ©jef united

大滝麻未さんの子育て日記

現役時代の妊娠中はなかった息切れ 

 次男の奏音(かなと)の出産からあっという間に2カ月です。長男の柚生(ゆずき)の時は、現役のサッカー選手として、産後3カ月で試合復帰していたので、今から1カ月後には試合に出ていたことになります。その意味を考えたことはなかったですが、今になり「よくやったな」と、少し感心してしまいます。

 2人の妊娠中の体重は、ほぼ同じでした。ただ、体感は全然違います。柚生の時は、体調が悪い日以外は毎日トレーニング。入院前日も、ゆっくりですが40分間走りました。おかげで、元気に出産を迎えられました。運動をしなかった今回は、とにかくすぐ疲れる「つらい妊娠」でした。階段を上るだけで息切れしたのは初めてです。

 妊娠中のトレーニングは、前例も少なく、けがのように復帰までのスピードやリハビリ内容がある程度決まっているものでもありません。妊娠・出産は人それぞれなので、前例を参考に「この人ができたから自分もできる」と考えるのは危ないと考えていました。自分の身体としっかり相談し、できる・できないを判断していました。

 夫は毎日、駅まで送り迎えをしてくれました。きっと心配だったと思いますが、何も言わずに支えてくれました。

子どもと過ごしたいけど仕事もしたい 

 産後1カ月で練習復帰するため、柚生には生活リズムを合わせてもらいました。授乳は泣いて欲する時以外は、決まった時間にあげました。夜の3時間おきの授乳は夫と分担し、それぞれが最低6時間連続の睡眠を確保しました。

 練習の後は、1分でも早く家に帰り、柚生と一緒に過ごしたい。と同時に、トレーニングが足りない不安と焦りもありました。育児とキャリアを両立することの大変さを思い知らされる日々。例えば朝早く、柚生が起きる前にトレーニングもできたと思いますが、疲れて休みたい気持ちが勝ってしまったのは自分の弱さだったと思います。それでも、自分の好きなことが続けられて幸せでした。

 2人目を出産した今、いとおしい息子たちとの時間と、一人の女性としてのキャリアをどう両立させていくか、悩んでいます。進めたいプロジェクトはありますが、器用ではないので、育児で時間が思うように取れないと、気持ちの余裕がなくなってしまうのです。

 少しずつでも進めるべきか、子育てがある程度落ち着くまで思い切って手放すか…。不安になることもありますが、出産から競技復帰できた経験は、私にとって大きな財産。限られた時間を大切に、「自分が好きな自分」でいられるよう、模索していきたいです。

大滝麻未(おおたき・あみ)

 1989年、神奈川県生まれ。女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。0歳2歳の兄弟を日英伊の3カ国語で育児中。

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