「犬を飼いたい!」と訴えるぽんこちゃん そこまでするとは〈古泉智浩さんの子育て日記〉63

(2025年7月9日付 東京新聞朝刊)
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リビングの掃除をするぽんこちゃん

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子どもたちの世話でも大変なのに

 子どもがずっと前から犬か猫を飼いたいと言っています。猫は僕がアレルギーが出てしまうので完全にNGですが、犬なら大丈夫かもしれません。妻の実家は猫を何匹も飼っていて、子どもは時折訪ねては猫と遊んでいます。5年生のうーちゃんは、以前は何度か犬を飼いたいと言っていましたが、最近はあまり言わなくなりました。小2のぽんこちゃんがここ数日ほど、飼いたいと激しく訴えてきます。

 妻の話によると、犬は猫の10倍もの手間が掛かるそうです。子どもたちの世話だけでも大変なのに、その上犬の世話は、ちょっと想像しただけでも遠慮したい。なんとかこの訴えをやり過ごしたいです。

 ぽんこちゃんは学童から帰宅すると、ランドセルを床にポイッと放り投げて、上着のある時期は上着も放って、みんなの生活動線だろうとお構いなしで、おやつの包み紙も床にポイッと捨てて、リビングにおもちゃやミニピアノが出しっぱなしです。

 「もし犬を飼ったら、犬なんてなんでも散らかすんだよ。あんたがそれを片付けないといけないのに、あんたもこうして散らかしっぱなしだったら、犬とあんたでリビングがめちゃくちゃになるわ。片付けられない子は犬なんて飼えないよ」。そう言うと、ぽんこちゃんは泣きながら部屋の片付けを始めました。

リビングの片付けが続いたら…

 「犬が飼いたい、犬が飼いたい」。何度も何度も呪文のようにそう言って、涙をポロポロこぼして、最後は掃除機まで掛けていました。壁の角のところを指して「ここがきれいになってない」と言うと、妻が出してくれたクイックルワイパーできれいにしていました。まさかそこまでやるとは…。驚愕(きょうがく)しました。

 しかし、その日、部屋の掃除をしただけで認めるわけにはいきません。犬を飼うのは1日だけではないからです。1週間なり、1カ月なりリビングが片付いたままならこれは飼わざるを得ない。今のところ、リビングがきれいな状態が続いています。散らかしているのは、ぽんこちゃんだけだったというわけです。

 本当に飼うなら、僕の猫アレルギーが犬にも発生する可能性があるので、ぽんこちゃんのがんばりに応えるためにも、重い腰を上げて動物アレルギーの検査を受けなくてはなりません。保健所の保護犬をもらいたいと思いますが、それには審査があるといいます。毎日散らかし放題だったぽんこちゃんが、泣きながら片付けを続けたことをアピールすれば、審査に有利に働くのではないでしょうか。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の11歳男児うーちゃんと、7歳女児ぽんこちゃんを育てる。

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  • ミルキー says:

    ぽんこちゃんが泣きながら部屋を掃除するなんて、けなげで可愛いですね。本人なりに真剣なのでしょう。

    ですが、奥さまの言う通り犬を飼うのは本当に大変です。最初は頑張ってお世話や散歩をしていても、家族がそれぞれ忙しくなり、いつしかお世話がおざなりになって散歩の時間も短くなっていく…という話は珍しくありません。犬にとって散歩は特に大事な時間なのにも関わらずです。

    大変だという事にはご理解があるようなので、通常10年以上一緒に暮らすことになるワンちゃんとの生活をさらに慎重に検討していただけたらと思います。その上で覚悟をもってお迎えされるのであれば、愛犬家の仲間として陰ながら応援させていただきます。

    ミルキー 女性 40代

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