「子どもを産むということは…」角野栄子さんに聞いた子育て 意外な答えの理由とは?

(2026年2月6日付 東京新聞朝刊)
写真 角野栄子さん

取材を受ける角野栄子さん=東京都江戸川区の魔法の文学館で(石橋克郎撮影)

「子どもを産むということは、心配も一緒に産むんですよ」

 児童文学者の角野栄子さんにインタビューし、記事にしました。その際に聞いた、このひと言が心に残っています。

 偶然にも、私の母は角野さんと同じ名前の「栄子」。心配性で、30代後半の年齢になった娘の私のことを案じています。私はうるさいと思ってしまい、ついつい言い返してしまいます。そのことをぽろっと口にすると、角野さんは冒頭の言葉とともに、ほほ笑んでくれました。

 代表作「魔女の宅急便」の創作秘話や戦争を経験した幼少期、作家生活などについてさまざまなことを聞く中で、ご自身の子育てについても尋ねました。

 すると「私はいい母親ではなかったわ」と、意外な答えが返ってきました。娘のことが心配で、「早く寝なさい」「これを食べなさい」など、生活習慣について口うるさくしてしまったと言うのです。

 「幼くして母を亡くしているので、命の終わりが順番にこないこと、死が突然訪れることを知っているんです」と角野さんは話します。娘の進路や将来などに、口を挟むことは一切なかったそうですが、「とにかく元気で健康に過ごしてほしいという気持ちが強かった」。

 社会や政治への不安、いじめ問題、世界の各地で起きている戦争…。子どもたちの周りには、心配になることばかりが起きています。だけど、誰もが一番に願うことは「子どもたちが元気で、幸せに生きてくれること」ではないでしょうか。角野さんの言葉から、母からの「心配」は愛でもあることを改めて感じました。

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