「誰でも通園」4月スタート 東京都内は独自の補助で 月10時間以上受け入れ 「保育士の加配は欠かせない」

(2026年3月25日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
 親の就労を問わず子どもを保育施設に預けられる「こども誰でも通園制度」(誰でも通園)が4月から全国で始まる。新たに公的医療保険料に上乗せして毎月徴収される「子ども・子育て支援金」が使われるが、豊かな財政を基に独自に手厚い受け入れ体制を整える自治体がある一方、保育士不足で受け皿を十分に確保できない自治体も。地域格差がある中で「社会全体で子どもの育ちを支える」という制度の理念は守られるのか。現状と課題を探った。
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散歩に出かける1、2歳児の子どもたち=東京都練馬区の向南幼稚園で

練馬区は最大48時間まで受け入れ 

 1月末、東京都練馬区の向南(こうなん)幼稚園併設の預かり保育施設に1、2歳児が続々と登園し、おままごとや車のおもちゃなどで思い思いに遊び始めた。。昨年7月から毎週水曜に3時間通う子たちで、親と別れて泣く子は1人もいない。

 園では2025年度、毎週月・水曜に計24人を受け入れている。「祝日の多い月曜と比べて、水曜はほぼ毎週通えるので慣れるのも早いですよ」と担当保育士。長期間、定期的に通えることが安心感につながっている。

 2歳の長男を預ける金井奏子(かなこ)さん(36)は、通い始めた当初は園に近づくだけで泣いていたというが、今では「先生やお友達の名前を言えるようになり、刺激をたくさん受けているようで、よく言葉が出るようになった」と成長を喜ぶ。

 国は誰でも通園で利用時間を上限月10時間とするが、同園は1日3時間を月4回で計12時間、または1日8時間利用の月4回で32時間。区は月48時間を上限としており、どちらも国の規定を優に超える。区担当者は「週1回で子どもの育ちを支えるには相応の時間が必要」と独自に拡充したと説明する。

 誰でも通園の子どもたちを担当する保育士の竹内菜乃香さん(28)は、「(子どもと関われるのは)週1日という短さの中で目指す保育をどこまでできるのかという難しさもありつつ、続けることで子どもの成長を感じる」と話す。

 こうした手厚い体制を支えるのは、東京都独自の補助制度だ。23年度から、「多様な他者との関わりの機会の創出」を名目に未就園児を定期的に預かる市区町村事業への補助を始めた。都の要綱が定める一定の基準を満たした施設には、誰でも通園の拡充にかかった経費を全額補助する。

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誰でも通園のために保育士を増員した東京都文京区のテンダーラビング保育園小石川

配置基準より2人多く配置する文京区

 この制度を活用し、利用時間だけでなく、人員を拡充して保育士の負担軽減を図るのが文京区だ。23年度に誰でも通園のモデル事業を実施した際に上がった「保育士の負担が増えた」という声を考慮した。国の基準より保育士が2人多い園には、区が都の補助金を活用して独自に加算しており、4月以降も継続する。事故防止のため、週1回、曜日を固定した定期利用にすることや看護師の配置などを要件とする。

 文京区の「テンダーラビング保育園小石川」では、誰でも通園として0歳児を1日2人ずつ、在園児と同室で受け入れるため、都の補助金を使って専任の保育士2人を追加して配置。安心で安全な保育を担保できるようにした。園長によると、人見知りが始まる0歳児は、週1日の登園で7時間滞在してようやく慣れても、翌週には振り出しに戻って大泣きするという。だからこそ「保育士の加配は欠かせない」と、手厚い人員配置の必要性を強調する。

こども誰でも通園制度

親の就労の有無にかかわらず、生後6カ月~3歳未満の誰もが保育施設に通える制度。実施するこども家庭庁によると、2026年度にかかる予算は349億円。各施設の改修費などは含まれていない。利用時間の上限は月10時間だが、26、27年度は経過措置として約35自治体が月3~10時間未満で運用する見込み。利用料は事業所が定めるが、同庁は1時間300円を標準としている。こども家庭庁は「一時預かり事業」(23年度時点で1269自治体が実施)が主に保護者の都合で子どもを預かるのに対し、誰でも通園は「子どもの健やかな成長」を主目的とする点で理念が異なると説明する。こども家庭庁の23年度の推計では未就園の0~2歳児は約134万人。

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