使っていなかった宿直室を「子育てスペース」に 埼玉県議会が子育て中の議員に配慮
定数93で女性は14 過去30年で最多
埼玉県議会では2019年の改選で、女性議員が定数93のうち14人に増えた。10月までに国政進出などで3人が辞職して11人になったが、それでも過去約30年間で最も多い。
ハード面では、2020年2月には、議事堂内に子連れで登庁できる「子育てスペース」を作った。長年使っていなかった、畳のある警備員用の宿直室を活用。テレビモニターで議会中継も見られる。2019年末に長女を出産した金野桃子さん(39)=無所属県民会議=は、産後8週で定例会に復帰した。審議中はスペースでベビーシッターが長女を見守り、休憩中に授乳に駆けつけた。
長女が2歳になる今も利用しており、スペースについて「本当にありがたい。先日の一般質問でも議場の傍聴席で『ママ』と大きな声を出してしまったのでスペースに移動させた。今後は一般の傍聴者にも開放できるといい」と期待する。
預け先がない男性議員も「子連れ登庁」
子連れ登庁時に利用するのは、男性議員も同じ。昨年、第2子が生まれた新井豪さん(46)=自民=は、妻の出産時に上の子の預け先がなく、スペースを利用した。新井さんは「昔は中高年の議員が多かったが、今は若い議員も増え、子育て世代向けに環境が整ってきた。誰でも議員になれるよう努めたい」と話す。
今年3月には男女兼用だった休養室に女性専用室を設けた。休養室は体調不良になったときに利用する部屋で、仮眠に使える簡易ベッドを備えており、「兼用だと入りづらい」という議員の声を受けて別々にした。
審議中の休憩は1時間ごと 月経に配慮
ソフト面では、昨年の12月定例会から、審議1時間ごとに10分の休憩を設けた。提案した会派によると、勉強会で女性の月経を学び、長時間座り続けることの困難を知ったのがきっかけ。それまでは一般質問が1人終了するまで1時間半ほど続いていた。持病や障害のある人への配慮にもつながるとして了承された。
あるベテラン女性議員は、「女性議員が少なかった頃は、ものを言うと遮られる空気があった。今は社会の流れとともに県議会でも理解が進みやすい。女性や若手議員の数(の増加)は大きい」とみる。
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