1人1台タブレット 壊さないために守りたいことは? 修理のプロに聞きました

2021年9月、オンライン授業に接続できず落ち込む息子(当時小1)。5年の今も同じタブレットを使用中
落としたら端末が反ってしまい
今回、取材した専門家は、デジタル機器のサポートを手がける日本PCサービス東京三田店(東京都港区)で、10年以上、修理の現場で経験を積んだ渡邊太陽店長です。
ー小学5年生の息子は1年ほど前、学校から貸与されたタブレットをあやまって階段から落としてしまい、タブレット全体が微妙に反った状態になってしまいました。電源は入りますし、操作も問題ありません。直しようはありますか?
症状の程度によっては弊社での対応でも費用が高くなってしまうことから、メーカー修理への依頼を推奨することもあります。
ー再来年春の卒業時には返却することになりますが、このままでは、次の子に引き継げません。弁償するしかないですよね?
デジタル機器は数年ごとに切り替えがあります。バッテリーの問題もありますが、アプリケーションなどの更新で端末自体を新しいものにアップデートする必要があるからです。その時期に当たれば費用はかからないかもしれませんので、学校に問い合わせしてみてください。

デジタル機器の扱い方について話す渡邊さん
持ち運びはクッション材に入れて
ー故障を防ぐために「まずはこれ」というレベルのアドバイスはありますか?
タブレットやパソコンの中には割と丈夫なものもありますが、ゲーム機ほど頑丈にできていません。最近は薄型化、軽量化されて、中をあけてみると本当に部品がほんの少しずれただけで閉まらなくなったりします。デジタル機器は繊細なものであることをきちんと認識していただいて、そのままで持ち歩かないようにしてください。
私たちが関わった案件で、大学生が自転車のかごにパソコンをそのまま入れて、自転車のブレーキをかけたときにパソコンがかごから飛び出して壊れたケースがありました。そんなことはないよう、みなさん、お気をつけください。
スマホもそうですが、タブレットやパソコンは数万円~数十万円する高価なものです。お子さんたちにもその点は伝えてあげてくださいね。
飲み物でぬれることは「余命宣告」
ー最も多いトラブルはなんでしょうか?
それは「飲み物をこぼした」です。水分を取り除いて、いったんは電源が入ったとしても、徐々にさびたりカビが生えたり、と腐食が進み、いつ電源が入らなくなってもおかしくない状態になります。極端な例では火花が出るケースも。飲み物をこぼすことは、それ自体がいわばパソコンへの「余命宣告」のようなものです。

パソコンのほこりとりは、スプレーで払うのがよい
吸い取るよりも、掃き出して
ー親がよかれと思って、やりがちなことはありますか?
パソコンの裏側にある排気口は、ほこりがたまりやすい場所です。ほこりをためたままだと、熱がこもりやすく、動かなくなってしまう可能性があります。そのほこりを掃除機で吸い取るのは厳禁です。静電気が発生し、故障する可能性があるからです。そうではなく、市販の専用スプレーなどでほこりを掃き出すのがよいです。
使っていないときは電源オフ
パソコンの熱を逃がすという意味でも、使用していないときは電源を切りましょう。スマホ世代の子どもたちは電源を切る習慣がないことがあるので、大人が教えてあげてください。
GIGAスクール構想
学校の通信環境を整備し、児童生徒に1人1台のパソコンやタブレットを配布して教育の充実を図る事業。2019年に打ち出され、20年度から始まった。情報収集や分析、遠隔での教育、個別の状況に合わせた学習で学力向上などの効果を見込んでいる。一方で、自治体や学校、教員によって端末の活用に差があるほか、教員の業務負担が増えたという評価、課題も指摘されている。端末の購入費は義務教育の小中学校は国費で賄われているが、高校は保護者が負担するのか、自治体なのか、自治体の判断に委ねられている。
日本PCサービス
パソコンやスマートフォンなど、デジタル機器のサポートサービスを個人、法人向けに展開している。全国に直営のほか、加盟店合わせて計395拠点ある(2025年2月現在)。本社は大阪府吹田市。修理を受け付けるサイト「PCホスピタル 」を運営する。
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