小学生に学習机は必要? リビング学習がいい? 専門家に聞きました 「せっかく買ったんだから…」はNG

加藤祥子 (2025年9月10日付 東京新聞朝刊)
 小3の長男に学習机を買うべきか迷っている。勉強が難しくなる時期に、机があれば集中しやすくなる一方、学習机を買わずに、家族が集まる居間などで勉強する「リビング学習」をする方がいいという考えも。どうしているか知りたいという読者からの相談に、多くの体験談が届きました。学習環境への考え方も専門家に聞きました。
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リビングに置ける学習机=コイズミファニテック提供

学年で変化したという声も

 声を寄せてくれた多くの家庭がリビング学習を経験。小3長男と小1次男を育てる石川県津幡町の女性(39)は「子どもが学習机で勉強しているところを見たことがない」と明かす。2人はリビングで宿題をしている。女性は子どもの様子を見られる今の状態を続けたいという。「学習机は不要で、勉強道具を収納する場所があれば十分」

 一方、リビング学習に全面的に賛成できない人も。名古屋市天白区の女性(39)は、小5の長男が小1の時に学習机を購入し、長男の部屋に置いたが、長男はダイニングテーブルで学習していた。

 小4になり勉強が難しくなると、長時間、テーブルを占拠するように。5歳下の長女は静かにしなければならず、長男は家族の会話がうるさくて、互いにイライラ。自室は漫画などの誘惑が多く、悩んだ末、長男の学習机を居間の隣の部屋に移して勉強専用の部屋にした。

 長男は集中できるようになり、自力で問題に挑戦するように。女性は「リビング学習は学年によって合わなくなってくることもある」と話す。

 学習机をダイニングルームに置いた家庭も。津市の女性(56)は、長女(19)が小1の時に部屋の隅に学習机を置いた。テーブルと分けることで、家族が使う時に長女が移動する必要がなく、持ち物の管理もしやすかったという。

子どもの意思で環境作りを

 「学習机の導入は、お金と空間が必要になる。今の環境で工夫してみてから検討するのがいい」。親らから年間3000件の相談を受ける「子育て・教育専門家」の石田勝紀さん(57)は助言する。

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石田勝紀さん

 子どもにより学習しやすい環境は異なり、子どもと集中できる時間帯や場所を考えてみるといい。教科によって勉強に専念できる環境が変わる子どももおり「どこなら集中できそう?」「算数ならこの時間がよさそうだね」などと声を掛け、探っていく。

 リビング学習で共用のテーブルを使うなら、どの席がいいかも確認する。周囲を遮る囲いや耳栓もあるが、幼い弟や妹がいるなら、別の部屋を利用した方がいい場合も。学習机を購入する前に、家にある机で試すことを提案する。

 懸念するのは「せっかく机を買ったんだから、使いなさい」と保護者が命令してしまうこと。「勉強はやらされると身に付かない。子どもの意思で(学べる環境を)決めると、自ら学習するようになる」と説く。

高学年で買うケースが増加 

 大手学習机メーカーの「コイズミファニテック」(大阪市)は奥行き70センチの一般的な学習机のほか、以前から奥行き48~60センチの机も扱う。リビング学習の浸透を受け、約8年前から、小さめの商品を、居間に置きやすいなどとPRする。子どもが自室に移っても使え、一般的な学習机と同等の売れ行きで好評という。

 同社によると、10~15年前は、小学校入学時に学習机を購入する家庭が約6割だったが、現在は約3割に。子ども部屋を使うようになる高学年で買うケースが増えている。

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