本を読まない子どもが読書にはまる オンライン習い事「ヨンデミー」 おもしろいと思える瞬間が起こる環境をAI司書がつくる

ヨンデミーを立ち上げた笹沼颯太さん
必要に迫られないと読書をしない
「先生は幼いころどんな本が好きでしたか」「どうしたら子どもが本を好きになりますか」。笹沼さんは東大在学中に家庭教師をしていたとき、生徒の保護者から度々質問された。家庭での読み聞かせが普及する一方で、学校などでは必要に迫られないと読書をしない子どもが多く、課題と感じた。

笹沼さんら創業期のメンバー=東京都中央区で(Yondemy提供)
小学生のころに偶然、お気に入りの1冊に出合い、読書が好きになった笹沼さん。「本をおもしろいと思える瞬間が起こる環境をつくればいい」。人工知能(AI)とアプリを使った読書教育サービスを思い立ち、大学3年生だった2020年、中高生時代からの友人と会社を立ち上げた。
2000冊超から最適な本をお薦め
ヨンデミーは、AI司書の「ヨンデミー先生」が子どもたちの関心に合わせて本を紹介するサービス。主人公の性格など本のストーリーに関する細かな情報や本の難易度を社内メンバーが実際に本を読んで蓄積しており、2000冊超の中から「内容に踏み込んで最適な本を薦めてくれる」。
全国の図書館の蔵書状況を管理するシステムと連動し、最寄りの図書館を登録すれば、すぐに借りられる本が優先される。笹沼さんは「本を読みたい気持ちだけでなく、本を用意するまでサポートすることが大事」と説明する。

読書教育サービスを提供するYondemyの社内=渋谷区で
そのほか、「伝説の読書家」を目指して本を読むことでストーリーが進むゲーム的な要素や、さまざまなキャラクターとの会話を通して読書後の感想を引き出してくれる仕掛けも。初めて使う際にはアンケートで好みや読む力を分析し、利用後は感想などを踏まえて次の本がお薦めされる。
会員数は累計2万人、月平均25冊以上
ヨンデミーは、新型コロナウイルス禍で教育や仕事などさまざまな場面でオンライン化が進んだことを機に徐々に認知されるようになった。本年度は小学校などの教育現場や書店と連携して子どもに読書教育を届ける実証実験も始めた。

書店との連携の一環として設置された本棚。独自に算出した読書レベルに基づいて本を整理し、子どもが自分に最適な本を簡単に見つけられる=埼玉県川口市で(Yondemy提供)
「ヨンデミーで、子どもが本を好きになるという成果が分かってきた」と笹沼さん。累計会員数は2万人を超え、利用者の平均読書冊数は月25.6冊に上る。これから先は「教育現場での活用も含めて日本中の子どもたちに豊かな読書教育を届けていきたい」

実証実験のため愛知県豊橋市の津田小学校に設置されたヨンデミー専用の本棚(Yondemy提供)
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