小学校プールで大量の水が流出した川崎市 約80校で校外プールを活用へ 教員の負担とコストを軽減

北條香子 (2025年12月7日付 東京新聞朝刊)
 川崎市教育委員会は市立小学校での水泳授業について、2029年度までに全115校中約80校で、民間プールを活用するなど校外で実施する方針案をまとめた。教職員の負担軽減やコスト削減が目的。川崎市立小学校のプールで大量の水が流出した事故などを受けて文部科学省は昨年7月、学校プールの管理業務に関する教職員の負担軽減策として、地域の公営・民営プールの活用などを挙げていた。
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今年7月に教員による水の流出事故があった川崎市立小学校のプール=川崎市で(市教委提供)

「新設や更新の必要性」にかかわらず

 2021年度に策定した方針では、新たに開校したり既存のプールが老朽化したりした場合、徒歩やバスで約10分圏内に授業で活用できる民間スイミングスクールや市のスポーツセンターのプールがないかを検討し、活用できない場合のみ、校内にプールを整備するとした。川崎市教委によると、今年9月末時点で小学校7校が民間プール、小学校2校がスポーツセンター、中学校1校が隣接する市立高校のプールを利用している。

 新たな方針案では、学校プールの新設や更新の必要性の有無にかかわらず、小学校から徒歩かバスで約15分圏内に活用できる屋内プール施設がある場合、その施設で授業を行えるようにする。受け入れ先のプールが廃止された場合は、別の民間プールや近隣校のプールの活用を検討する。

 市教委の担当者は「プールの維持管理を教職員が行う負担がなくなるほか、猛暑や雨に左右されず、年間を通じて計画的に水泳授業が実施できる」と説明。水道代や清掃委託費、建て替え費用などのコストを削減できるとしている。

学校プール継続なら「自動止水装置」

 学校プールを継続使用する約35校については、川崎市教委が外部のインストラクターを指導補助として派遣したり、自動止水装置を設置したりして教職員の負担を軽減するほか、熱中症対策の日よけを設けるなどして環境改善を進める。中学校については当面、学校プールで授業を行い、小学校での取り組みを検証して、今後、方針を検討する。

 市教委によると現在、小学校115校中111校、中学校52校中46校にプールが設置されているが、7割超が耐用年数とされる築30年以上で老朽化している。市教委が今年6月に全市立小中学校を対象に行った実態調査では、小学校88%、中学校73%が「日常の清掃や水張りなど、水泳授業の準備に時間や労力がかかる」と回答した。

元記事:東京新聞デジタル 2025年12月7日

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