子どもの裸を友達の親に撮られた時どうする? 相手は軽い気持ちでも流出リスクが心配

加藤祥子 (2025年12月10日付 東京新聞朝刊)
 小学校高学年の長男が友人の家に泊まった際、友人の親に、裸を撮られてしまった-。写真が流出するリスクやSNSに投稿される恐れがあると悩む愛知県内の40代の母親から本紙へ投稿があった。警察などへ相談するのがいいのか。子どもの交友関係に水を差さないよう、親に伝えるにはどうしたらいいか。専門家に聞いた。
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スマホの写真が流出したり、SNSに投稿されるのが心配…。どうすればいい?

「消す」と言ったけど…軽い口調が不安

 女性の長男はスポーツのクラブチームに所属。昨年、メンバーの家に仲間数人と宿泊した。入浴後、みんなが裸ではしゃぐ姿を、メンバーの家の親にスマートフォンで撮られた。

 後日の練習で、その親が、他のメンバーにも画像を見せ、笑い合っていた。女性が知ったのもその時だった。スマートフォンには仲間と裸でふざけている写真が10枚ほどあり、女性は長男にその行動を注意した。ただ、入浴中の写真も含まれており「そもそも(親が)わざわざ撮ることが理解できない。防ぎようもない」。

図表 子どもの裸を撮られたらどうする?

 女性は知った直後に、その親に写真の削除を求めた。「消す」と言った口調が軽く、「本当に削除されているのか」と女性には不安が残る。その親は過去に練習中のメンバーを撮り、許可なくSNSに投稿していたこともあり「裸の写真もいつ上げられるか分からず、恐怖感がある」と話す。

 メンバー同士は仲が良く、女性は関係を壊すことを望んでいない。長男は来年3月にチームを卒業する。「それまで(その親と)距離を置けばいいのか、警察や他の機関に相談した方がいいのか」と悩んでいる。

まずは保護者で相談 被害拡大を防ぐ

 今回の件は、どう対処すればいいのか。子どもの権利や事件に詳しい弁護士の間宮静香さん=名古屋市=によると、警察に相談すると、撮影された子どもが事情を聴かれることがあり「子どもが苦しい思いをすることもある。被害の度合いによるが、まずは保護者で話し合いを」と助言する。

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「被害の度合いにもよるが、まずは保護者で話し合ってほしい」と話す間宮静香弁護士=名古屋市内で

 その際、被害の拡大を防ぐという視点も強調する。例えば、裸の写真を撮影した親へ「写真が流出すると、性的なものとして使われる恐れがある」と伝え、削除したか再確認する。手紙でもいい。他の保護者やチームの指導者から「削除されたか、心配していたよ」と伝えてもらうのも効果的。段階を経ても、写真が消されたか分からず不安なら「警察に相談する手段もある」と間宮さんは話す。

 間宮さんによると、裸の写真の撮影は、正当な理由なく、胸や下着などの撮影を禁ずる「性的姿態撮影等処罰法」に触れる可能性がある。「撮影状況や目的によるが、第二次性徴を迎えた子の裸の撮影なら、正当な理由とは言いにくくなるのでは」と指摘する。

生成AIでわいせつ画像作成の危険性も

 親が撮影した写真を他のメンバーに見せたことにも懸念を示す。「プライバシー権の点から問題。大人にしないことは、子どもにもしないと心がけてほしい」

 さらに、練習中の写真でも同意なく撮影し、SNSなどに投稿するのは肖像権の侵害に当たる。生成AIなどもあり「別の裸の写真と合成され、偽のわいせつ画像を作成される危険性もある」。

 再発防止へ、チーム内で子どもの権利について学ぶ時間を持つことを勧める。文部科学省による性暴力防止に向けた教育プログラム「生命(いのち)の安全教育」の資料などを活用するといい。

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