小学校の隣に「無人ホテル」 大田区で建設中、反対対署名2700人 保護者の不安「撮影されたら…」
市川千晴 (2020年3月2日付 東京新聞朝刊)
東京都大田区の区立山王小学校(同区山王1丁目)の隣接地で従業員が常駐しないホテルの建設が進んでいる。地域住民や保護者は「客室やベランダから子どもたちを撮影する客がいても、従業員がいなければ止められない」などと不安を訴え、営業を許可しないよう求める請願を先月、区教委に提出。これを受けて大田区教委は2日、臨時教育委員会を開き、この問題を議論する。
訪日外国人向け 6月開業
ホテルは、渋谷区の不動産業者が計画。3階建てで、最大14人が泊まれる。訪日外国人家族向けで6月開業を予定している。
業者は、住民らが不安を訴えたため1月23、25日に説明会を開いた。営業許可申請を受理した保健所の指導もあり、小学校側の窓をすべて曇りガラスに変更。ベランダから校庭が見えないようフェンスを設けるなどの対策を講じた。
住民らは対策は不十分とし、2月6日に区長らに反対の署名を提出。その後、臨時教育委員会の開催を求める請願を出し、市民団体「山王小学校と地域の環境を守る会」を設立した。反対署名はこれまでに約2700人分に達した。
区教委は安全性に懸念
山王小は創立90年を超す。会のメンバーで、自身を含め親子3代が卒業生の鈴木栄美子さん(69)は「地域で防犯パトロールを続けながら子どもを守る環境を築いてきた。その安全をリスクにさらしてまで営業すべきか疑問だ」と話す。
旅館業法で、営業許可の申請は保健所に行う。保健所は、小学校から半径100メートル以内の場合、教育委員会に照会すると定められている。区教委は既に安全性の懸念を保健所に伝えたという。
区教委は「学校の清純な環境が守られるような判断をしたい」と述べるが、保健所は「審査基準に基づき法律的な問題がなければ許可せざるを得ない」と話した。不動産業者は「住民全てから賛成を得るのは難しいが、できる限り対応したい」と語った。
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