離島の小笠原村では小中学校を再開 新型コロナ「休校してもリスクに大きな差はない」 子どもたちは歓喜
小倉貞俊 (2020年3月10日付 東京新聞朝刊)
東京都心から約1000キロにある離島・小笠原村で、新型コロナウイルス感染防止で休校していた小中学校が9日に再開し、子どもたちが再会を喜び合った。都内自治体の公立学校の再開は初めて。政府の要請に一度は休校を決めたが、交通手段が限られ感染リスクが比較的低いという島の事情や、「村では休校してもリスクに大きな差はない」との専門家の意見を考慮し、再開に踏み切った。
校長ホッ「親御さんも限界だったのでは」
「みな元気に登校し、楽しそうに校庭を駆け回っていた。休校中は出歩かないようお願いしており、親御さんも限界だったのでは」
児童生徒40人が通う母島小中学校の新妻茂校長は9日、ほっとした様子で話した。ただ、ホエールウオッチングのシーズンで訪れる観光客は多く、「今後も気を引き締めたい」とも。
小笠原村は安倍晋三首相の休校要請を「差し迫った要請」と受け止め、父島と母島の小中学校(児童生徒計270人)を3日から休校にした。全国の感染状況や島の地理的条件から休校に慎重論もあり、まずは休校期間を6日の金曜日までとして様子を見ることにした。
休校時と通常で感染リスクに差異なし
小笠原村の教育委員会によると、再開の決定は
(1)村内に感染者や疑われる患者がいない
(2)村への出入りが6日に1便の定期船に限られている
(3)東京港での出港時に乗客の検温・問診を実施している
―などを踏まえた。
森下一男村長は小笠原村のホームページに「医療関係者から、村内では休校時と通常時の感染リスクに大きな差異はないとの専門的意見をいただいた」との趣旨のメッセージを掲載。「児童・生徒、保護者の皆様のことを勘案し、総合的に検討した結果」と説明した。
一方、父島にある都立小笠原高校は25日の終業式まで休校。都は「都立学校は地域に関わりなく、一律同じ対応」としている。
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