トランスジェンダーの鶴岡そらやすさん「はじめてのLGBTs」を出版 性的少数者のこと、親子で理解してほしい

近藤統義 (2020年9月29日付 東京新聞朝刊)
 性的少数者(LGBTs)への理解を広げようと、出生時の性別とは異なる性を自認するトランスジェンダーの鶴岡そらやすさん(47)=埼玉県川口市=が「きみは世界でただひとり~おやこで話す はじめてのLGBTs」(日本能率協会マネジメントセンター)を出版した。「自分らしさを大切にしてほしい」というメッセージを込めた1冊だ。

LGBTs

性的少数者には、レズビアン(L)ゲイ(G)バイセクシュアル(B)トランスジェンダー(T)以外にもさまざまな人たちがいるため、複数形の「s」をつけて、あらゆる性的少数者が含まれることを表す。

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LGBTsに関する著書を出版した鶴岡さん=越谷市で

幼少期から「女性である」ことに違和感 

 「赤いランドセルなのはどうしてだろう」。埼玉県越谷市で育った幼少期から、女性であることに違和感があった鶴岡さん。恋愛対象も女性だった。それを明かせば、いじめられると思い、周囲には言い出せなかった。

 カミングアウトしたのは2年前。40歳まで15年間、埼玉県内の小中学校で働いた教員時代の教え子の存在が一つのきっかけだ。退職後、生徒の一人に「あのころは何度も死にたいと思っていた」と、トランスジェンダーであることを打ち明けられた。

教員時代の後悔 オープンにしていれば

 「当時は全く気づいてあげられなかった。もし自分がオープンにしていれば、相談できたかもしれない」。悩む子どもの力になりたいと、川口市内で学習塾を営む傍ら、LGBTsに関する講演や保護者向けの講座を開くようになった。

 本では多様な性のあり方や、結婚や家族の形を取り上げている。子どもにも分かりやすいよう、自身の愛猫たちを進行役に易しい言葉で書き上げた。なぜ人間の世界は個々の違いを認めず、性別で役割を決めつけたり、仲間外れにしたりするのか-。毛の色も模様も異なる猫たちが、不思議がる姿が印象的だ。

「親が一番の味方になってほしい」

 迷路や塗り絵など子どもが楽しめる仕掛けも盛りだくさんの一方、大人用の詳しい解説書も別冊で付けた。「親にカミングアウトしても否定され、傷つく子もいる。近くにいる親が一番の味方になってほしい」との思いからだ。

 社会の少数派はLGBTsだけではない。障害があったり、外国籍だったり、ひとり親だったり。鶴岡さんは「人はそれぞれ違うからこそ助け合える。違いに出合ったとき、この本での学びが役に立ってくれれば」と話している。

 96ページ、1500円(税別)。主な書店やインターネット通販で購入できる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年9月29日

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