AIで点字翻訳、東京高専生がベンチャー起業 「視覚障害者の声を大切に」

「TAKAO AI」を起業した板橋さん(右)と藤巻さん=八王子市で
コンテストの賞金100万円を資本金に
会社を設立したのは、いずれも情報工学科の板橋竜太さん(19)=4年=と藤巻晴葵(はるき)さん(18)=3年。板橋さんが代表取締役社長、藤巻さんが最高技術責任者(CTO)として取締役に就任した。所在地は東京高専校内。昨年の「全国高専ディープラーニングコンテスト」で最優秀賞を受賞した際に贈られた起業資金100万円を資本金にした。
板橋さんらは2019年、スマートフォンやタブレット端末で撮影した広告などの印刷物を、コンピューターが自動で点字化するシステム「てんどっく」を開発した。昨年、AIを活用して複雑な文章も学習できる機能を搭載してコンテストに出場し、最優秀賞に輝いた。
企業や行政へ 発想の転換で市場拡大
ビジネスモデルとしては、視覚障害者の人口が少ないため市場規模の小ささが課題だったが、対象を企業や行政などに設定する方向に転換。飲食メニューや店内案内など文字情報の点字化に協力すれば、企業のイメージ向上にもつながることから、社会で障害者を支える発想に切り替えたという。
コンテストで学生らにアドバイスしたデータ分析会社「ブレインパッド」(港区)の草野隆史社長は「発想の転換がうまくできた。持続可能な開発目標(SDGs)にも資するし、市場規模の拡大にもつながる」と期待。視覚障害者の支援団体を紹介し、技術面で2人を指導してきた山下晃弘准教授も「ここまでくるとは思わなかった。これからも支援したい」と目を細めた。
TAKAO AIは今後、ソフトウェア開発会社などと協力し、より視覚障害者らに使いやすいシステムを開発する方針。板橋さんと藤巻さんは「求められるものの本質に近い仕事をしたい」と強調。視覚障害者の声に耳を傾けながら事業展開するつもりだ。
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