埼玉で未成年自殺が増加、コロナの影響か 大人よりストレスや孤独を抱えやすいとの指摘も

杉原雄介 (2021年9月14日付 東京新聞朝刊)
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18歳以下からの相談を受けるさいたまチャイルドライン。「自分なんかいなくなった方がいい」など悲痛な声が相次いで寄せられている(チャイルドライン提供)

 埼玉県内で今年、未成年者の自殺が増えている。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が長くなった影響で、ストレスや孤独を抱えやすくなっているという指摘もある。相談を受ける団体などは、大人が子どもの悩みに真剣に向き合うことが大切だと訴えている。

1~7月で36人 前年同期の1.5倍

 厚生労働省のデータによると、1~7月に埼玉県内で発見された自殺者数(暫定値)は651人と前年同期比で約5%増だが、うち20歳未満は36人で、前年同期の24人から1.5倍に増えた。

 埼玉県疾病対策課の担当者は「コロナ禍で親も子も在宅時間が長くなり、互いにストレスがたまり関係が悪化しやすくなっているのでは」と推測する。子どもは友達と会って話す機会も減っており、気軽に相談できず孤立する傾向もあるとみている。

 対策として県は、7月から毎週日曜と月曜の午後9時~翌午前6時、LINEで相談受け付けを開始(埼玉県のホームページで詳細を説明)。昨年11月からは、「こころの健康相談統一ダイヤル」を24時間対応にした。

大人が共感し、不安を吐き出させて

 公益財団法人「日本財団」(東京都港区)が4月、全国の2万人を対象に実施した自殺意識調査では、1年以内に自殺したいと考えたことがあると答えた割合は、全体で6.4%だったのに対し、15~19歳では15.8%にのぼった。自殺を考えた未成年は、「連日コロナ関連ニュースを目にする」「感染した場合の恐怖感」などコロナ絡みでストレスを感じているケースが、成人より目立つとの結果も出た。

 日本財団の担当者は「大人が子どもに共感し、聞く姿勢を見せることが重要。不安を吐き出させてあげてほしい」と話す。コロナ情報との接し方についても「自分の身を守るにはどうすべきかなど、前向きな情報に注目するよう心掛けることが大切」と語った。

 一方、18歳以下からの相談を月に600~700件ほど受けているNPO法人「さいたまチャイルドライン」の太田久美(ひさみ)代表(69)は、コロナ禍以前から「自分の存在が家族に迷惑をかけている」「いなくなった方がいい」などの訴えが目立つ傾向があったと指摘。こうした訴えをする子どもたちは自分が劣っていると考えがちで、「親が、『よく頑張ったね』と結果より努力を褒めてあげることが必要」とアドバイスしている。

心が弱った時などに話を聞く行政や民間団体の電話相談

「埼玉県こころの健康相談統一ダイヤル」=電話0570(064)556=24時間、さいたま市は午前9時~午後4時

「さいたまチャイルドライン」=フリーダイヤル(0120)997777=年末年始を除く午後4~9時

「埼玉いのちの電話」=電話048(645)4343=24時間

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年9月14日

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