きょう入学式なのに制服が届かない 多摩地域の「ムサシノ商店」でトラブル続出
コロナ禍で生産量を増やせず納品遅れ
都教委によると、都立高校や特別支援学校などの約4分の1にあたる68校が同社と契約。学校には保護者から「制服が届かない」「どうしたらいいか」と問い合わせが寄せられている。ムサシノ商店は学校に対し「メーカーから納品が遅れている。新型コロナの影響で生産量を増やせないようだ」と説明しているという。ホームページに「新入生の納品に向けて急ぎ作業を進めております」とのおわびを掲載している。
民間信用調査会社・東京商工リサーチによると、ムサシノ商店は業務を継続しているが、問い合わせが殺到し、連絡が取りづらいという。商工リサーチの担当者は「会社側は『工場からの納入が遅れている。届いたものから消費者に渡している』と説明している」と打ち明けた。
商工リサーチの調査では、ムサシノ商店は1944年創業で、多摩地区に6店舗(吉祥寺、立川、西八王子、町田、多摩、東久留米の各店)を展開。制服販売の指定校は国公立、私立の中学、高校など計約320校に上る。
都教委が「私服OK、写真撮影は延期」
制服が届かない生徒のため、都教委は6日、中学の制服や私服での登校を認めることや、集合写真の撮影を延期することなどの配慮を各学校に指示した。
武蔵野市のムサシノ商店では、出入りしていた従業員が「上の者がいないので対応できない」と言葉少なに話した。
「連絡なし」門出に混乱 制服未着 保護者ら対応に憤り
府中市教委はリユース制服を貸し出し
ムサシノ学生服吉祥寺店(武蔵野市)には、夜になっても制服を注文した親子が訪れた。娘が中学の入学式を迎える西東京市の母親(44)は「店舗になかなか電話がつながらなかった。遅くなるなら事前に学校などに連絡があってもよかったのに」と顔をしかめた。制服は6日に届いたが、寸法が大き過ぎて直しに来たという。
八王子市の西八王子店前。都立高校に進学する娘の母親(37)は「電話がつながらなくて4日にも来た。『届いたら連絡する』と言われたが、連絡はなかった」と不信感をあらわにした。日野市の40代女性は「他の店舗で申し込んだが、西八王子店に倉庫があると聞いたので来た」。娘の制服は倉庫にあり、その場で受け取れた。「あるなら連絡してくれてもいいのに」と話した。
各自治体の教育委員会や学校も対応に追われた。府中市では中学4校で計6人の生徒に制服が届かず、市教委は学校でリユースの制服を貸し出すことを決めた。多摩市教委も数校から連絡があり、中学1年の保護者に向けて「制服が届かなければ私服で参加を。リユースの制服希望者は学校に問い合わせを」と送信した。立川市は私服での参加も可能にした。武蔵野市教委によると、6日昼時点で制服が手元にない新入生は9人いたが、その後3人に届き、残る6人はリサイクル制服を着るという。
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