心の痛みを伝え、受け止めるには? 小学校で「SOS教室」 自分自身に「大丈夫?」と呼びかけよう
渡部穣 (2022年11月22日付 東京新聞朝刊)
困りごとをSOSとして他の人に伝えたり、友達のSOSを受け止めたりすることの大切さを学ぶ「SOSの出し方・受け止め方教室」が21日、川崎市宮前区の白幡台小学校の5、6年生の授業で公開された。担当教員は「悩みを抱え込まず、相談を。あなたを守りたいと思っている人は必ずいる」などと訴えかけた。
川崎市教委の共生教育 小中高が対象
「共生教育」の一環として、川崎市教育委員会が今年9月から全市立小中高生を対象に推進している。この日の教室では、心の痛みについて考えた後、自分の好きなことや強みなどを列挙し、それが困ったときの心の支え(レジリエンス)になることを学んだ。さらに友人同士でお互いのレジリエンスは何かを探した。最後に動画で「自分自身に『大丈夫?』と呼びかける大切さ」や「助けを求めることも強さ」と学んだ。
教室を終えた6年生の大谷柚莉(ゆうり)さん(11)は「友達を気遣うことや自分のことを知る大切さを知った」、玉置英玲奈(えれな)さん(12)は「私には傷を隠しちゃう癖がある。友達を助けつつ、自分のことも助けないといけないと思った」と話した。碓井咲結(さゆ)さん(12)も「友達を当たり前に気遣える人になりたい。自分のことも忘れてはいけないと知った」と授業の成果を語った。
「相談しようと思わない」子が多いが
5年生の鯛谷琉空(たいたにりく)さん(11)は「悲しいときは友達や家族に相談することが大切だと学んだ」、荒井翔太さん(10)は「(私には)いじめられた経験がある。友達に相談してもらって、(今度は自分が)心の支えになれたらいいと思った」と話していた。
川崎市教委が今年6~7月、小学5、6年生と中学生の計約3000人を対象に行ったアンケートでは、不安や悩みなどについて、約半数が「ある」または「分からない」と回答。さらに全体の半数近くが「誰にも相談しようと思わない」と答えたという。安斎陽子・担当課長は「今回の教育で、もっと相談ができるように子どもたちの意識が変わることを期待している」と話した。