差別にさらされる外国ルーツの子どもを支えよう 全国4番目に外国籍の人が多い足立区で講座
佐藤航 (2023年1月31日付 東京新聞朝刊)
外国にルーツを持つ子どもたちの支援について考える講座が29日、足立区の学習施設「エル・ソフィア」であった。言葉の壁や経済的理由から学習の機会や居場所が限られ、偏見や差別にさらされやすいといい、こうした子どもをどう支えるか、NPO法人代表や区民ら約40人が意見を出し合った。
同級生が名前をからかい、心に影
同級生から名前をからかわれる、給食の日本食を食べられないと、とがめられる-。足立区NPO活動支援センターが開いた講座会場。多文化共生に詳しい文教大国際学部の孫美幸(ソンミヘン)准教授は基調講演で、子どもたちが直面する「マイクロアグレッション」(小さな攻撃性)の実例を紹介した。
差別的な意図はなくても、言われた人の心に影を落とす。区内で日本語教室などを開くNPO法人「メタノイア」の山田拓路代表理事は壇上で「毎日からかわれるとしんどくなる。『俺は外国人だから』と考えてしまう子どもが足立区にもたくさんいる」と訴えた。
日本語指導と居場所づくりが必要
足立区内では1月1日現在、中国や韓国、フィリピンなどの外国籍の人が約3万6000人(全人口の5.2%)いる。国の2022年6月の統計では埼玉県川口市の約3万9000人をはじめ新宿区、江戸川区に次ぎ全国4番目に多い。言葉の壁で学習についていけない子も多く、区の2021年度調査では区立小学校で約150人、区立中で約50人が日本語指導が必要としていた。
居場所づくりも急務だ。山田さんの話では、言葉の問題などで保育園や幼稚園に通えず、親が仕事に出ている間は一人で留守番をしている子も少なくない。山田さんは「日本語での入園手続きが難しいケースもある」と、保護者への支援の必要性も説いた。
参加した区内在住のフリーライターで、元日本語講師の渡部紗也花さん(34)は「保育園などに行けない未就園児は大きな問題。地域で小さい子どもたちに目を向けていく必要性を改めて感じた」と話した。
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