日本版DBS、秋に法案提出へ 子どもと関わる就業の前に性犯罪歴チェック 課題は「どんな職種が対象か」
坂田奈央 (2023年6月17日付 東京新聞朝刊)
小倉将信こども政策担当相は16日の記者会見で、教員や保育士、ベビーシッターなど子どもに接する仕事に就こうとする人が過去に性犯罪歴がないことを確認する仕組み「日本版DBS」の創設に向け、秋に見込まれる臨時国会に関連法案を提出する考えを示した。
教育、保育士、シッター、塾講師…
DBSは、英国の「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス」(前歴開示および前歴者就業制限機構)の略。政府が個人の犯罪記録を管理し、性犯罪歴がないことを証明する「無犯罪証明書」を発行し、学校や保育所などで働く人が就業先に提出することを想定している。
課題は、対象の職種をどう規定するか。子どもと接する職業は、国家資格が必要な教員や保育士だけでなく、ベビーシッターや学童スタッフ、塾講師、スポーツの指導員など多岐にわたる。憲法の職業選択の自由との関係を含む法的論点の整理も必要になる。
小倉氏は、プライバシー保護の面でも具体的な手続きやシステムの在り方が「非常に大きな論点となる」と語った。有識者会議を月内に設置し、民法や憲法、労働法などの法学者、児童心理などの専門家、保護者の代表者らが制度の留意点について議論を深める。
処分された教員 9年連続で200人超
日本では2021年度、わいせつ行為やセクハラで懲戒などの処分を受けた公立の小中高校や特別支援学校などの教員が、9年連続で200人を上回った。ベビーシッターによる子どもへのわいせつ事案が相次いだ2020年ごろから、日本版DBSの創設を求める声が高まっていた。
岸田文雄首相は昨年1月の施政方針演説で検討開始を表明。こども家庭庁が2023年度予算で調査研究事業を進め、英国のほかドイツやフランスでの事例調査を行ってきた。
◇小倉将信こども政策担当大臣は2023年8月30日、東京すくすくのインタビューで「学習塾なども対象範囲」との方針を示しました。
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