物心ついたころからキャッシュレス 子どもの金銭感覚、大丈夫? 育むために大切なことは…

チェック!子育て家計術 親子で金融経済 学ぼう!

【第2回】金融や経済の仕組みと社会のつながりを学ぶ「金融経済教育」。近年はキャッシュレスが普及し、子どもには「パスモ」や「ナナコ」などICカードやスマホを渡しておこづかい代わりにしている親もいるでしょう。管理が楽な半面、現金と違って手軽にチャージできるので、所持金の多寡に鈍感になりがちなのが心配です。

小学校の算数で「おつりって何?」

 「子どもがゲームやスマホのアプリで、登録されていた親のクレジットカードで勝手に有料サービスを支払ったという話はよく聞きます」

 J-FLEC(ジェイフレック、金融経済教育推進機構)の運営委員でファイナンシャルプランナーの八木陽子さんは話します。

 物心ついたころからキャッシュレス生活の子どもたち。昔のように硬貨や紙幣を使うことが少なくなり、小学校の算数の授業で「おつりって何?」と質問する子どももいるそうです。

 お金をどのくらい貯めて、どのくらい使ったか。最近はネット通販での買い物が当たり前になり、大人でも家計の全貌が分からなくなる人はいるのではないでしょうか。家庭での金融経済教育は、親子でお金の価値を実感することから始めてみたいものです。

 基本的な金銭感覚を養うには、身近なおこづかいの使い方から見直すのがおすすめです。J-FLECが事務局を務める金融経済教育推進会議の示す「金融リテラシー・マップ」では、「家計管理」の分野で、「ニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの)を区別し、計画を立てて買い物ができる」(小学生)、「家計の収入・支出について理解を深め、学校活動等を通じて収支管理を実践する」(中学生)などが目標として掲げられています。

旅行でも予算を立てて使う、が基本

 「身近なところで、できることがたくさんあります」と八木さん。「予算内に収めるのが収支管理の基本。おこづかいは予算をつくって使うよう親子で練習しましょう」

 手始めに、夏休みなどで家族旅行に行く時は、子どもに旅行の計画を立てさせるのがおすすめ。

 旅先で子どもに「あれ買って」「これ買って」と言われるがままに買い与えるのではなく、交通費、ホテル代、レジャー費用、食費などをそれぞれ予算化。子どもにレストランや費用、お土産の相場などを調べさせて、それぞれの見積りを出してもらいます。予算内に収めるには何を優先して何をあきらめるのか意識させましょう。

おこづかいは「ためるお金」「自分のために使うお金」、贈り物など「人のために使うお金」、利息を付けて運用を学ぶ「増やすお金」の4つに分けた管理がおすすめ

 普段おこづかいを使う際も、自分の貯金額などを把握させた上で「推し活に使うのは年間いくらまで」「ゲームの課金はいくらまで」「友達との遊びはいくらまで」などと決めます。

 親も日々の家計で予算を決めていない場合は、予算を設定すると食費の節約や衝動買い防止に役立ちます。

金融経済教育 

2020~22年度に全面実施になった小中学校・高校の家庭科や社会科などの学習指導要領で記述が拡充された学習内容。金融の仕組みや資産形成、生活設計などについて学ぶ。

「J-FLEC(ジェイフレック)」(金融経済教育推進機構)

金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)、全国銀行協会、日本証券業協会が発起人となり、4月に設立された認可法人。企業や学校での出張授業、無料のイベント・セミナー、個別相談、学習教材の無料提供、金融経済教育研究校の指定・支援、J-FLEC認定アドバイザーの認定・公表などの事業を行う。

監修・八木陽子

写真 八木陽子さん

 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体キッズ・マネー・ステーションを設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

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