子どもが不登校になって… 5人に1人が離職、8割が「学校から情報なく困った」 家族にも深刻な影響

榎本哲也 (2024年10月22日付 東京新聞朝刊)

グラフ:子どもが不登校になって学校から必要な情報提供がなくて困ったか

 子どもが不登校になった保護者の5人に1人が、世話などのため仕事を辞めざるを得なかったとのアンケート結果を、東京都内のフリースクールが21日に発表した。「学校から不登校についての情報提供がなくて困った」と答えた保護者も8割いた。

フリースクールが調査

 調査したオンラインフリースクール「SOZOWスクール小中等部」(品川区)の小助川将代表取締役は「不登校が家族の生活に深刻な影響を与えている。情報提供体制の整備が必要」と指摘する。調査は8~9月、同スクールに在籍する不登校の小学4年~中学3年の保護者484人に実施。31都道府県の187人から有効回答を得た。主な質問は複数回答で聞いた。

グラフ:子どもが不登校になって保護者に起きた変化

孤独を感じた…5割超え

 「子どもが不登校になって保護者に起きた変化」は、「気分の落ち込み」「孤独を感じた」がともに5割超。精神面の変化が多い一方で、「仕事を辞めざるを得なかった」が35人と18.7%だった。このうち6割の20人が、小学校の低、中学年で不登校になった児童の保護者だった。

 子どもが不登校になった際、学校から情報提供があったかとの質問には、約5割が「なかった」と回答。情報提供があった保護者にその内容を聞くと、教育支援センターなど公的機関の支援内容が38%、不登校の相談窓口が23%だった。

 一方で、保護者が必要と思った情報で多いのは、相談窓口63.6%、フリースクールなど民間支援の内容53.5%、学校以外で支援を受けた場合の出席扱い49.7%などが多かった。

 調査に協力したジャーナリストの石井しこうさんは「必要とする情報について、保護者と学校とに認識ギャップがある。不登校の情報を提供すると『見放した』という印象を与える、と学校が考えるからではないか。学校は日常的に不登校について情報提供してほしい」と話していた。

長女に異変「相談相手いれば…」

 「毎日の生活費をどうするか、娘の体調がいつ回復するのか。相談できる相手もなく孤独でした」

 北海道在住の作家、里海慧(さとみあきら)さん(48)=ペンネーム=は、小学6年の長女(12)が不登校になった頃を振り返る。

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不登校になった長女(左)の看病のため仕事を辞めた経験などを話す里海慧さん=東京・霞が関の文部科学省で

 長女は4年生の11月、新型コロナウイルスに感染し学校を欠席。2週間で回復したが、吐き気が続き、小児科でも原因がわからず、3学期も欠席が続いた。

 里海さんはひとり親で、長女と、要介護認定を受けている父親と3人暮らし。以前はコールセンターで契約社員として働いていたが、往復3時間かかる勤務先に、体調不良の長女を家に置いて通えず、やむなく退職した。

 小児科に「吐き気で診断書を出せない」と言われ、自己都合退職扱いになり、失業保険がすぐには出なかった。副業で始めたライトノベル作家の印税などで、辛うじて生活していた。

 長女は5年生の1学期から登校を再開したが、数週間後に吐き気が再発し、欠席。この頃、ずっと初診予約待ちだった小児精神科をようやく受診できた。里海さんは初めて「学校へ行きたくない」という長女の思いを知った。インターネットで探したSOZOWスクールに10月から入学させた。長女の吐き気は収まり、自宅学習などして過ごしている。

 「学校へ行きたくないと言ったら嫌われると思い、言えなかった」。長女は、当時の思いをこう話す。

 里海さんは「学校からの情報があまりにも少ないと感じた。当時、不登校の子どもがいる親同士で話せる機会があれば、不安が和らいだと思う」と話していた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年10月22日

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