保育士の人件費増、こどもホスピス…こども家庭庁の2024年度補正予算案の主な内容を紹介します
【9月の概算要求の記事はこちらです】
保育士の待遇、学童の待機児童・・・こども家庭庁の2025年度予算はどうなる?概算要求をチェック
補正予算とは
毎年4月に始まる、予算(本予算)がその後の情勢の変化で、予算額が不足したり、予算の内容を変更する必要が発生した場合に、元の予算を変更する予算です。今回の補正予算は11月28日開会の臨時国会に提出され、過半数の合意が得られれば成立します。
補正予算のスローガンは「すべてのこども・若者の幸せと未来を守る」。4つのテーマごとに紹介します。
1.「こどもまんなか」のバージョンアップ(14億円)
2. 地域の若者の将来設計の可能性の最大化(170億円)
3. 未来を担うこどものための質の高い成育環境の提供(2929億円)
4. すべてのこどもの幸せを守り抜く(343億円)
1.「こどもまんなか」のバージョンアップ
◆こども・若者視点の現場主義の強化
・こども・若者の意見聴取に係る新たな仕組みの導入等(1.7億円)
こども家庭庁だけの取り組みではありませんが、政策の方向性を決める審議会などの委員の構成で、子どもや若者世代(10~30代)を一定割合以上にする取り組みです。現状は1.1%と低すぎる状況です。若い世代のみなさん、ぜひ手を上げてみませんか。
(25年度予算の概算要求でも、「こども・若者意見反映推進事業」として盛り込まれています。)
2.地域の若者の将来設計の可能性の最大化
◆地域の若者のライフデザイン(将来設計)への支援
・民間企業等と連携した地域の若者のライフデザイン支援を開始(7億円)
企業が社員や顧客向けに行う、セミナーや伴走型の相談などを支援します。
(25年度予算の概算要求でも、若者のライフデザインを応援するイベントやプロジェクトへの支援が盛り込まれています。)
◆誰でも地域で無理なく子育てできる社会への転換
・放課後児童クラブの待機児童問題への対応(22億円)
放課後児童クラブの待機児童問題については、民間の新規参入の支援など量の拡充、DXや職員の確保による受け入れ力の強化、児童館や保育所など新たに預けられる場所をモデル事業で支援など5つの方策で解決したい、としています。
25年度予算の概算要求でも、「放課後児童クラブのDX推進」が盛り込まれています。DX推進の目的の一つは、スタッフの業務を効率化して、子どもと向き合う時間を確保することです。DX化に終わりはないので、引き続き注目します。
・入院中のこどもの家族の付添いの環境改善(1.9億円)
入院の付き添い家族にはベッドがない病院も多いようです。簡易ベッドの導入などを進めます。
(25年度予算の概算要求でも、オンライン面会用のタブレット導入の補助なども含め、盛り込まれています。)
3.未来を担うこどものための質の高い成育環境の提供
◆多様で質の高い保育の持続的な確保
・保育士等の処遇の抜本的な改善(1150億円)
今回の補正予算の4分の1を占めるのは、夏の人事院勧告に基づいた人件費の増額です。その伸び率は過去最大の10.7%です。果たして、保育士の給与に反映されるのでしょうか。
三原じゅん子・こども政策担当相が22日の記者会見で発表していました。三原担当相は現場を視察した際に、保育士だけでなく、保育園を利用する保護者からも保育士らの給料増などの待遇改善が必要という意見が出されていたことに触れ、「現状からの大脱却を図る抜本的な処遇改善」とアピールしていました。
人事院勧告とその影響
国家公務員はストライキなどの労働基本権が制約されているため、第三者機関の人事院が民間企業の給与を調べ、同水準になるよう給与改定を勧告します。国家公務員のうち、行政職や外交官など一般職が対象です。今年8月の人事院勧告では、1992年度以来となる月給2%増が盛り込まれました。政府はこの勧告を踏まえ、一般職の給与を引き上げる給与法改正案を秋の臨時国会に提出します。地方公務員の給与は自治体の人事委員会による勧告などに沿って改定されますが、人事院勧告も参考にされます。
4.すべてのこどもの幸せを守り抜く
◆困難に直面するこどもの幸せを守り抜く
・地域におけるこどもホスピスへの支援(3億円)
民間の調査では、生命を脅かす病気を抱える(LTC)の子どもは約2万人いるとされますが、国内のこどもホスピスは数カ所程度だそうです。地域でこどもホスピスを行う民間団体を自治体が支援するモデル事業を始めます。
(25年度予算の概算要求にも盛り込まれています。)
なるほど!
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知りたい
秋田の保育士です。三原議員は頑張ってくれていますが、園にお金が入っても保育士まで届くかは謎です。
保育士の平均収入が20数万で低いとされていましたが、私の園では処遇改善Ⅰ、Ⅱをたしても手取りは16万程度です。こども中心に考えていく世の中は良いとは思いますが、それに携わる保育士は本当に辛いです。
設置人数も足りていると言われはるばかりですが、0歳児は月齢で手のかかり方も違います。たとえば0歳児クラスの1歳過ぎた子が3人でも保育士は一人。3ヶ月の赤ちゃんが3人でも保育士は一人です。
現場の現状をもっと知ってほしいです。今は保育士ですが、今の職場を離れる時が来たら保育士をやろうとは思いません。そんな思いの保育士はたくさんいると思います。