政治学者 田村哲樹さん 妻との関係を一番に考えて事実婚に 次男は「別姓は特別感あっていいよね!」と

夫婦別姓を選択した思いについて話す名古屋大法学部の田村哲樹教授=東京都千代田区で(中村千春撮影)

各界で活躍する著名人が家族との思い出深いエピーソードを語るコーナーです
強い主義主張ではなく、とりあえず
妻は大学の後輩で、公立高校の教員です。大学在学中に交際が始まり1998年に結婚、2000年に長男、01年に次男が誕生。事実婚で、私と長男は田村姓、妻と次男は(妻の)竹内姓です。事実婚は私が提案しましたが、強い主義主張があったわけではなく「とりあえず」という感じ。子の出生時には少し悩みましたが、不都合はあまり感じておらず「法律婚にしよう」とはなりませんでした。
長男と次男は2学年違い。中学は別でしたが、保育園や小学校、学童保育は同じ所に通いました。保育園への送りは私で、迎えは妻でした。入学式や卒業式、懇談会などへの出席は、分担することが多かったです。園では名字で呼ばれず「○○くんのお父さん」で通っていましたし、次男の学校で「竹内さん」と呼ばれても気にしません。
不便が全くなかったとは言いません。同姓でないと携帯電話の家族割が使えなかったり(当時)、妻が息子たちのパスポートの申請に行き、長男の分だけ拒否されたり。私のオーストラリア在外研究に息子たちを同行させようとビザ(査証)を申請した際は、「家族であることを証明せよ」と言われて困りました。上司が英語で書いてくれた文書や、家族連名あての年賀状などを提出し、ようやく認められましたが…。たまにそういうトラブルはあっても、日常生活の上で大きな不利益を感じたことはありません。今後、相続などの問題に直面するかもしれませんが…。
一体感なくなっている実例ってある?
あえて言いますが、私は常に妻との関係を一番に考えてきました。「子ども第一」が正しいとは限らない。両親の関係が良ければ子どもたちも大丈夫。そう考えています。
また、私自身は育休を取ったり、豪州で息子たちと暮らしたりして家事も一通りやりますが、息子たちに「家事をしろ」と言ったことは一度もありません。日常風景の中に私が普通に料理などする姿があれば、息子たちも自然とやると思っていました。今、2人とも一人暮らしの大学院生ですが、それなりに自炊などしている様子です。
息子たちが周囲に「なぜ兄弟で名字が違うの?」と聞かれたことはあるようです。でも、長男は幼少から弟をかわいがり、次男は兄と同じ高校を選んで進学しました。今もとても仲の良い兄弟です。
次男は妻に言っています。「別姓が嫌だと思ったことは一度もない。逆に『特別感があっていいよね』と小学校くらいから思ってた」「僕は兄も父も大好きだから、『別姓だと一体感がない』とは思わない」。選択的夫婦別姓の議論でよく「姓が違うと子どもがかわいそう」「いじめられる」という声を聞きますが、そういう実例を見聞きしたことがあるのか疑問ですね。
田村哲樹(たむら・てつき)
1970年、広島県出身。94年名古屋大法学部政治学科卒、99年同大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。2010年から名古屋大法学部教授。名大ジェンダーダイバーシティセンター副センター長兼務。02年に名大の男性職員で初の育休を取得。愛知県男女共同参画審議会会長なども務める。「日常生活と政治」(岩波書店、編著)など著書・共著多数。
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子供が小さくて家族仲が良いうちは、家族が別姓でも問題はないと思います。
両親が高齢で病院や施設の世話になったり、事故事件でトラブルが起きたり、お金の問題で家族内で揉める時「お兄ちゃんだけ父の苗字にしてもらいえこひいきされていた。弟の自分は父から冷遇されて苗字も別姓だった」「妻の私を家政婦がわりとしか見ていなかった。その証拠に同じ姓にしてくれなかった」と話がややこしくなるのでは?と心配になります。
年月がたって家族仲が冷えると、相続争いなどで過去を歪めて主張することはふつうにあるので……
あー同じ家族見っけ!!うんうんそうだよね。共同生活30年の我が家は事実婚でキョウダイで苗字が違います。この30年外からの声は色々あったみたいですが、困ったことはあんまりなかったかなー。そうそう家族割は確かに。それからステップファミリーだと思われていたり、キョウダイで姓が違うと可愛そうとかよく言われましたよ。うーんどうして?言わせてもらうと、なまじ同姓の家族より一体感があるかなー。