3歳の孫が祖母に「大きくなったらおんぶしてあげる」…思い出を絵本にしたら、本当にそうなった
松尾博史 (2023年1月15日付 東京新聞朝刊)
江戸川区平井の主婦野本りゑ子さん(72)が、孫との思い出をつづった絵本「ばばちゃんはおとしより」(文芸社)を自費出版した。主人公のモデルとなった孫に完成した絵本を渡した際の孫なりの心を込めた返礼にあらためて成長ぶりを実感した。「いつまでも優しい気持ちを持ち続けてほしい」と願う。
「ばばちゃんはおとしより」自費出版
絵本の主人公は3歳の男の子「ひな君」。遠方から遊びに来たおばあちゃんと一緒に買い物に行き「抱っこして」とせがむ。体力的に抱っこが大変そうな様子を感じ取ると、「もう1人で歩くよ。大きくなったら、今度はばばちゃんをおんぶしてやるからね」と気遣うストーリー。
野本さんには中学2年から保育園の年長組まで男女5人の孫がいる。絵本のストーリーは8年前、関西地方に住んでいた3人目の孫に会いに行ったときのエピソードを基にしている。「優しい孫との思い出を形にできれば」と自費出版を決め、同社が委託するイラストレーターが絵を手掛けた。
小5になった孫 「書いたよ」と渡すと
モデルの孫は小学5年になった。2022年11月下旬、孫の家に遊びに行き、出来上がった絵本を「ばばちゃんが書いたよ」と渡すと、帰り際に「ばばちゃん、ちょっと」と呼び止められ、リビングでおんぶをしてくれた。
孫が当時のやりとりを覚えていたかどうかは分からない。野本さんは「背中の大きさが伝わり、こういうときが来たのかと涙が出ました。この本を作って一番よかったことかもしれません」と感慨深げに振り返った。
1100円。書店やインターネットを介して購入できる。問い合わせは、文芸社=電話03(5369)3060=へ。
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