「夫の報復怖くて通報できなかった」 目黒虐待死の初公判、母が起訴内容認める 救急隊「結愛ちゃんの腕、骨と皮」
池田悌一 (2019年9月4日付 東京新聞朝刊)
東京都目黒区で昨年3月、両親に虐待された船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判の初公判が3日、東京地裁(守下実裁判長)であり、優里被告は起訴内容を大筋で認めた。
黒スーツで出廷、泣きじゃくる優里被告
証人尋問では搬送した救急隊員が、結愛ちゃんの様子について「腕は骨と皮しかないくらい細く、目の下が腫れていた」と証言し、「優里被告はぼうぜんとしていた」と振り返った。
優里被告は黒のスーツ姿で出廷。結愛ちゃんは継父の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪と傷害罪などで起訴=から繰り返し暴行を受けていたとされるが、「報復が怖くて通報できなかった」と泣きじゃくった。
検察側は冒頭陳述で、結愛ちゃんが雄大被告から、「朝4時に起き、息が苦しくなるまで運動する」などの困難な課題を強いられ、達成できなければ暴行を受けるなどしていたと主張。結愛ちゃんが嘔吐(おうと)も繰り返していたのに、優里被告は病院に連れて行かなかったと指摘した。
弁護側「夫のDVで、抵抗できない状態」と主張
弁護側は「優里被告は雄大被告から過酷な心理的ドメスティック・バイオレンスを受けていた」とし、育児について度重なる叱責(しっせき)を受け、抵抗できない状況だったと強調した。
起訴状によると、優里、雄大の両被告は、昨年1月下旬ごろから結愛ちゃんに十分な食事を与えず、2月下旬ごろには雄大被告の暴行で極度に衰弱していたのに、虐待の発覚を恐れて病院に連れて行かず、3月2日、肺炎による敗血症で死亡させたとされる。
結愛ちゃんは「パパ ママ もうおねがい ゆるして ゆるしてください」などと両親に許しを請う文章をノートに書き残していた。悲痛な叫びは社会に大きな衝撃を与え、親による子への体罰を禁じる法改正のきっかけとなった。
雄大被告の初公判は10月1日に予定されている。
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