「孫疲れ」を避けるには?専門家に聞く かわいいけど体力が… 断る勇気と「外注」が必要です - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

「孫疲れ」を避けるには?専門家に聞く かわいいけど体力が… 断る勇気と「外注」が必要です

大野雄一郎 (2024年12月13日付 東京新聞朝刊)
 孫の誕生を喜ぶシニア世代。だが、その世話で肉体的、精神的に疲弊する「孫疲れ」を感じた経験がある人も実は多いのではないだろうか。年末年始の帰省シーズンは、孫に会う機会が増える時季でもある。できるだけ負担を減らしながら、かわいい孫に接するためにはどうすればいいか。専門家に聞いた。
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公園で孫と一緒に遊ぶのは楽しいけれど…(写真はイメージです)

公園で2時間つきっきり、へとへとに…

 「かわいいのは最初のうちだけ。預かっていると、だんだんきつくなる」。こう語るのは、4人の孫がいる愛知県岡崎市の会社員男性(65)だ。

 今秋、3歳になる孫を預かったときのこと。2人で近くの公園へ行き、付きっきりで面倒を見た。遊具で遊ぶ孫は楽しそうで、帰るそぶりもないまま2時間が経過。

 帰路は孫にせがまれて抱っこしながら歩き、家に着いた頃にはへとへとに。「もう若くないので体力が続かない。『けがをさせたらいけない』という緊張感もあって疲れた」と苦笑いする。

昔から「来てうれしい、帰ってうれしい」

 孫に直接に関わらなくても疲れを感じるケースもある。さいたま市北区の無職女性(66)は孫が生まれた際、子育てをする親を応援できればと、自宅で作った食事を電車で1時間かかる息子宅に届け始めた。

 多いときでほぼ毎日通っていたが、買い出しや調理の手間も含めると「本当に大変だった」。3週間ほど続けたが肩こりがひどくなり、整形外科を受診するまで悪化してしまったという。

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NPO法人「孫育て・ニッポン」理事長の棒田明子さん=さいたま市大宮区で

 孫の世話への疲れは、今に始まったことではない。孫育ての在り方に詳しいNPO法人「孫育て・ニッポン」(東京)の棒田明子理事長(56)は「昔から『来てうれしい、帰ってうれしい』という言葉があるように、孫育ては疲れるものだった」と話す。

出産年齢の上昇で、祖父母の負担感も…

 ただ、その負担感は年々高まっている。その理由が出産年齢の上昇だ。

 孫ができる年齢も同時に高まってきたことで、例えば50代の祖父母であれば難なくこなせる世話でも、体力や気力が落ちてきた人にとっては疲労感が強まる。

 男性のように「預かっているときに孫に何かあったらどうしよう」というプレッシャーも疲れの大きな要因となる。

特に孫疲れしやすい年末年始 対策は?

 また棒田さんによると、年末年始は特に「孫疲れ」を感じやすくなりがちだという。お正月らしい豪華な食事の準備や寝床の支度を求められることで、普段よりも疲労が蓄積しやすくなる。「共働きが多い今の子育て世代は『お正月くらいのんびりさせて』と帰省してくる。でもシニア世代だって今は働いている人は多いですからね」

表 孫育て10か条(抜粋)

 負担を減らすために棒田さんが勧めているのが「断る勇気を持つ」ことだ。年末年始であれば、食事は外食に頼る、布団はレンタルのものを手配するなど家事を外注するのも選択肢の一つ。「受け入れが大変なら楽をする方法を考えてもいい」と言う。

大切なのは「普段からの関係性づくり」

 そして、より大切なのが「普段からの関係性づくり」だと棒田さんは指摘する。親が考える育児の方向性や孫の成長の様子について、日ごろから情報交換の頻度を高めておけば、来訪時のストレスが軽減できるという。

 「孫育て・ニッポン」では、「孫育て10か条」と銘打った祖父母世代の心構えや、今と昔の子育ての違いを発信している。ホームページでも内容を確認できる。

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