〈大滝麻未さんの子育て日記〉13・兄弟がいつか親友になれるように

最近、一丁前に兄をなでなでする奏音(右)

夫と義理姉は2人で海外旅行もする仲
最近は子どもたちがくっついてテレビを見たり、弟の奏音(かなと)が柚生(ゆずき)のまねをしてケラケラと笑い合ったりする姿を見て、「兄弟っていいな」とほほ笑ましくなります。もちろん、そんな穏やかな時ばかりではありませんが(笑)。2人の姿を見て、海外でプレーしていた時のチームメートや夫を見て感じていた「きょうだい愛」のことを思い出しました。
私は兄がいて、夫には姉がいて、どちらも仲が良いきょうだいだと思いますが、その関係は少し違うようです。私にとって兄は「兄」で、お互いの子どもの年齢も近いので会うことも多いですが、仕事やプライベートの話をすることはありません。それに比べ、夫と姉は、一緒にパブに飲みに行き、海外旅行もするような「親友」であり、何でも相談できる心の支えのように見えます。どちらが良いか悪いかということではなく、そんな2人がすてきだなと思うのです。
夫に「なんでそんなに仲が良いの? 小さい頃に両親にそういう教育を受けたの?」と聞くと、「うーん」と悩みながら、夫の育った英マンチェスターではスラングで自分のきょうだいのことを「our kid」と呼ぶことを教えてくれました。直訳すると「私たちの子ども」。何だかよく意味が分かりませんが、きょうだいをこのように呼ぶことで無意識的に大切な存在だと認識するのかもしれません。だから、特別な教育を受けたわけではありませんが、幼い頃から姉の味方になって守るんだという感覚があったそうです。
きょうだい愛を体現できるように
夫だけではありません。フランスのチームにいた時には、チームメートからきょうだいの自慢話をよく聞きました。「私だったらできないな」と思いつつ、こんなにも誇りに思い、それを恥ずかしがらずに話せることが本当にいいなと感じていました。
夫がふと「自分の母親のきょうだいとの絆を見ていたことが影響しているのかも」とつぶやきました。英国人の義母は、きょうだいや家族と過ごす時間が長く、助け合いの精神に満ちています。それを見ていたからか、夫は今でも叔父や叔母のことを両親と同じように慕い、帰省した際は何度も会う機会をつくるのです。近くに、きょうだい愛を体現し、教えてくれる存在がいることで育まれたのでしょう。
柚生と奏音が「兄弟」であり「親友」であり、お互いが心のよりどころになってくれたらうれしいです。私自身も兄や家族に感謝の気持ちを言葉にして伝えるなど、関わり方を改めて考えてみようと思っています。
大滝麻未(おおたき・あみ)
女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。1歳3歳の兄弟を日英伊の3カ国語で育児中。
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