〈大滝麻未さんの子育て日記〉11・まめでよく気がつくイタリア人夫のおかげで

(2025年5月14日付 東京新聞朝刊)
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10分しか座っていられない長男とサッカー観戦を楽しむ夫

大滝麻未さんの子育て日記

FIFAマスターの同窓会で出会い

 ダポト家は、私よりはるかにまめで、よく気がつく夫のおかげで、よい日も悪い日も、次の日を穏やかな気持ちで迎えられています。私たち家族は、彼の優しさに支えられているのです。今回は、そんな彼と国際結婚に至るまでを振り返ります。

 夫は、国際サッカー連盟が運営する大学院「FIFAマスター」の先輩でした。1年で3カ国を巡りスポーツについて学びます。履修中に開かれた卒業生との集まりで何度か顔は合わせていたものの、彼の周りにはいつも人が集まっていて、なかなか話す機会がありませんでした。初めてしっかり話せたのは、卒業してしばらくたってから。私が現役選手としてパリで復帰した時に、スイス・チューリヒにあるFIFA本部に勤務していた夫が、私の引退後のキャリアのために、本部の女子サッカー部門責任者を含むミーティングを設定してくれたのが始まりでした。

 それから連絡を取り合うようになり、試合観戦を兼ねてパリに遊びに来てくれたのですが、さすがイタリア人。「誕生日だっけ?」と思うほどたくさんのお土産を両手に抱えて来てくれる上に、帰った次の日には大きな花束が家に届くのです。海外には日本のような「告白」という習慣がないのですが、「こうやって思いを伝えてくれるんだ」とうれしかったです。同じヨーロッパとはいえ、パリとチューリヒは電車で5~6時間。月に1、2度しか会えず、その後すぐに私の帰国が決まったため、お互いをよく知らないまま、日本とスイスでの生活となりました。

家事はお互い「やるよ」と譲らない

 それから2年半の遠距離恋愛の末、夫が日本に移住して2020年に結婚しました。今振り返ると本当に大きな決断だったと思います。私が現役を引退して渡欧するという選択肢もありましたが、自分のことより、私の「東京五輪に出たい」という夢を応援したいと、夫が出した答えでした。結婚後も現役を続けたり、出産しても復帰したりと、挑戦を続けられたのは夫の理解とサポートのおかげです。

 今の仕事は夫婦ともに在宅でできることが多く、時間帯も不規則です。家事育児のルールは設けず「できる人ができることをやる」ようにして、お互い「やるよ!」と譲らないことが多いです(笑)。私は時々、「もういいや」と家事を投げ出して寝てしまうこともありますが、どんなに疲れていても朝には部屋がきちんと整頓されています。夫の愛を感じながら、「おはよう」とまたダポト家の1日が始まるのです。

大滝麻未(おおたき・あみ)

 女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。0歳3歳の兄弟を日英伊の3カ国語で育児中。

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