10代の「ゲーム障害」 オンラインゲームの人気が背景に 1日の使用時間、金額など親子で取り決めを
対戦ゲームに熱中 「スマホがないと落ち着かない」
愛知県に住む女性(49)の中学3年の息子(14)は中学1年の冬ごろから、スマホの対戦ゲームに熱中。食事以外は常にそばにスマホを置き、休日は1日中没頭するようになった。やめるように言ったが、「相手がいるから途中ではやめられない」とゲームを続けた。
数カ月すると、頭痛や肩こりなど体の不調を訴えるように。内科や整体などに通ったが、改善しなかった。症状は悪化の一途で、朝、起床後に嘔吐(おうと)するように。食欲もうせ「生きていても仕方がない」などと言って無気力になり、学校にはほとんど行けなくなった。それでも、「スマホがないと落ち着かない」と、少しの間も手放せずにいた。
学業や仕事に支障が出る状態なら診断
心療内科などを受診しても原因は不明。女性がネットなどで話題になっていたゲーム障害を疑い、3月に専門の久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)を受診。カウンセリングの結果「可能性が高い」と診断され、正式な結果を8月の通院で受ける予定だ。
WHOの定義によると、ゲーム障害は日常生活よりもゲームを優先し、問題が起きても続ける。本人や家族の社会生活や学業、仕事に支障が出る状況が1年以上続く場合、または重症だと1年未満でも診断される。
厚生労働省の調査では、ゲーム障害を含むインターネット依存症の疑いのある中高生は2012年度の調査では推計値で52万人だったが、17年度は93万人と2倍近くに急増している。
専門外来の患者9割がオンラインゲームの依存症
治療の第一人者で、久里浜医療センターの樋口進院長は、仲間と協力して攻略するオンラインゲームの人気の高まりが背景にあると指摘。「オンラインゲームは絶えず内容が更新されるので終わりがなく、飽きない。強くなって仲間に称賛されると、さらにのめり込み、何時間でもゲームに没頭してしまう」と話す。
センターは11年、国内初のインターネット依存の専門外来を開設。16~17年に受診した患者のうち、9割がオンラインゲームの依存症と診断された。平均年齢は19歳で、10代が7割を占めた。
社会人が仕事を終えた深夜からゲームが始まるケースも多く、昼夜が逆転。朝は起きられずに学校や会社に遅刻、欠席する人も。夢中になって食事を取らずに体力が衰え、家族に注意されたり、ゲームを取り上げられたりすると、暴力をふるうケースもあるという。
親子でスマホ使用のルール作りが大切
センターの治療では、生活日誌をつけていかに多くの時間をゲームに使っているかを把握。「なぜゲームをするのか」といった自己を見つめるカウンセリングや、同じゲーム障害の患者らとのミーティング、運動などを通じて徐々にゲームをしたい衝動を抑えられるようにしていく。
無理やりスマホを取り上げると反発して病院に来なくなるおそれがあるといい、樋口院長は「本人が自分の意思でゲームの時間を減らしていけるよう手助けすることが大切」。治療には長期間かかるが、回復できる。ただ、対応できる医療機関は全国で約80カ所で「不足している」という。
子どもへの予防法としては、スマホを買い与える前に親子で使用法のルール作りをすることが大切。1日の使用時間や場所、金額などを決め、無制限にできないようにすることなどを同センターのホームページで紹介している。
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