幼いわが子を亡くした親たちが216個の風船に込めた思い 「天使の日」今年で10回目
奥野斐 (2019年10月5日付 東京新聞朝刊)
病気や障害などで幼いわが子を亡くした親たちが4日、東京都墨田区にある東武ホテルレバント東京の屋外チャペルから、天国の息子や娘へのメッセージを添えた風船を飛ばした。2010年、子どもを失った経験をつづったブログや会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合った親5人が、「わが子を思って何かしたい」と始め、今回で10回目になる。
亡くなったわが子を思い、風船を飛ばす親ら=墨田区で
「毎日あなたを想っています」「いつも一緒」
毎年10月4日を「10=てん」「4=し」の語呂合わせから「天使の日」とし、親たちのグループ「お空の天使ちゃんを想(おも)う家族の会」が企画。この日は、きょうだいや祖母らも含めて約90人が参加した。
「大好きだよー」。午前10時4分、掛け声とともに、雨上がりの空にピンクとクリーム色の風船216個が一斉に舞った。
<毎日あなたのことを想っています><パパとママのところに生まれてきてくれてありがとう><いつも一緒。愛しているよ>
風船にはそれぞれが書いたメッセージが添えられた。親たちは、生前の写真を持ち寄り、思い出を語り合った。風船を手放すと、わが子の名前を呼び、見えなくなるまで見守った。
同じ境遇の親たちと出会い、また笑えるように
4年前、1歳だった長女里彩(りあ)ちゃんを脳腫瘍で亡くした戸沢絵里さん(36)=千葉県船橋市=は、9カ月間に及んだ手術や抗がん剤治療の日々を振り返り、涙を拭った。「その後、妹たちが生まれました。今日は年に1回、お姉ちゃんだけを思う日。ずっとそばにいてねと伝えました」
染色体異常の一つ「18トリソミー」の長女希来(きく)ちゃんを亡くした田中友紀(ゆき)さん(43)=相模原市=は「子どもを亡くした直後は一生笑うことはないと思ったけれど、同じ境遇のママたちと支え合い、また笑えるようになった。1人で悩み、苦しんでいるママやパパに1人ではないと気付いてほしい」と話した。
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