好評です「小児科オンライン」 ちょっとした悩みもLINEで相談、親の不安と孤立を防ぐ コロナ対応で8月末まで無料
ビデオ通話やチャットでリアルタイムに
「赤ちゃんの鼻がフガフガいっているけど大丈夫?」「犬がほえてしまうのだけど、子どもの耳に悪影響はない?」
スマホ医療相談「小児科オンライン」には、子育てをしていて気になるさまざまな不安や疑問が寄せられています。相談方法は2つ。決められた時間にLINEアプリを使ってビデオ通話やチャットなど好きな方法で小児科医とやりとりできる方法と、質問を送ると、24時間以内に回答が送られてくる方法です。
「病院で待っているだけでは守れない」
橋本さんは都内の病院で子どもたちを診察する一方、「病院で待っているだけでは健康は守れない」と感じています。「今の社会では、情報格差や貧困、親の精神状態などによって、子どもの健康にも影響が出ています。子どもが虐待を受けたり、病気になったりする手前で、お母さん、お父さんたちにこちらから近づいていかなくては」。こう考え、2015年に会社を立ち上げ、翌年から「小児科オンライン」を始めました。
同じように妊婦や周産期の相談にも応じる必要があると、2018年からは「産婦人科オンライン」もスタート。現在、小児科医や産婦人科医、助産師など約150人が相談に対応しています。
「小児科や産婦人科にかかる人は若い層が多いので、オンラインの良さが生きる」と橋本さん。若い世代は、電話や対面での相談に苦手意識がある人も多く、自宅からスマホで相談できることが、ハードルをぐっと低くしていると実感しています。「顔が見えないほうが本当のことを相談できる、という人もいる。セーフティーネットにはいろいろあっていい」。必要に応じて、対面診察への促しや、行政の子育て支援担当課などにつなぐ対応もしています。
どんな環境の子どもも、守られるように
橋本さんは、このサービスが、小児科医や産婦人科医の不足を補う手だてにもなるほか、夜間や休日に不要な救急医療にかかる子どもを減らすことにもつながると考えています。10カ所以上の自治体の事業として委託を受けるほか、企業が社員の福利厚生の一つとして導入するケースもあり、原則利用者の負担はありません。
今年5月からは、新型コロナウイルスの感染拡大で、小児科にかかりにくかったり、集団健診や母親教室の延期などで不安を抱える人たちの相談窓口として、経済産業省の事業に。全国民に向けてサービス提供を始めたところ、いつもの5倍の相談が寄せられ、「育児でバタバタする中でも相談しやすかった」「こんなことくらいで、と聞きにくいことも納得いくまで聞くことができた」などと好評でした。コロナの影響がまだ続くため、事業は8月末までの延長が決まっており、無料利用に必要な合言葉「てをあらおう」を入力することで誰でも何度でも無料で利用できます。
「予防接種の普及などで、子どもの病気の様相は一昔前とは大きく変わっている」と橋本さん。細菌による感染症や重度の胃腸炎などは大きく減る一方、アレルギーや発達障害、心身症のほか、虐待への対応などが小児科医により強く求められるようになっているといいます。橋本さんは「変化に敏感に対応し、どんな環境に生まれても子どもたちの健康が守られ、希望を持てるようにするためにこのサービスを広げていきたい」と話しています。
なるほど!
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