子どもの発熱、もしやコロナ? 熱の高さより「5つの症状」に注意 親は焦らず冷静に
冬は子どもの発熱が多い季節です
「熱が39.6度あるんだけど」。名古屋市内の会社員男性(34)は1月中旬、次女(2つ)が発熱したという妻からの電話に青ざめた。その日、かかりつけ医は休診。近くの小児科と内科に電話したが「熱がある子は診られない」と断られたという。3軒目でようやく、新型コロナとインフルエンザの抗原検査を受け、いずれも陰性だった。「振り返ると、熱はあったが本人は元気。ただの風邪だったよう」と胸をなでおろした。
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コロナ禍以降、子どもが発熱すると保護者は感染を心配する。しかし、長野県の佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長で、SNSで医療情報を発信する「教えて!ドクタープロジェクトチーム」の責任者、坂本昌彦さん(43)は「冬は子どもの発熱が多い季節」と落ち着いた行動をとるよう訴える。
「高熱が脳の障害を招く」は誤解
そもそも子どもは、コロナに感染しても軽症や無症状が多い。感染経路は家庭内、大人から子どもがほとんど。子から子、子から大人のケースはまれだ。「家族など身近な大人に陽性者や濃厚接触者、コロナを疑う症状の人がいなければ、普通の風邪である可能性の方が高い」という。
発熱は、熱に弱いウイルスや細菌から体を守るための防御反応だ。40度近くまで上がると、脳炎や脳症を心配する親は多いが、高熱が脳の障害を招くというのは誤解。「脳炎や脳症の原因は、ウイルスや細菌が脳に炎症を起こすこと」と言い、「注意すべきは熱の高さではなく、ぐったりしているかどうか」と強調する。そうした様子がなければ「あわてて病院に駆け込まなくても大丈夫」。熱があっても「風邪の場合、こまめに水分を摂取して安静を保てば、自然に治ることがほとんど」と話す。
急いで受診が必要な「5つの症状」
一方で、急いで受診が必要な場合もある。坂本さんが挙げるのは「ぐったりして顔色が悪い」「呼び掛けてもぼんやりしていたり、眠ってばかりいたりする」「何度も嘔吐(おうと)する」「水分が取れず半日以上尿が出ない」「けいれんした」の5つの症状だ。
熱が3~4日間続くときも気を付けたい。急性気管支炎や肺炎といった感染症の他、心臓の血管に瘤(こぶ)ができることがある川崎病などがまぎれている例がある。生後3カ月未満の場合は特に注意が必要。母親からの免疫成分が体に残っているこの月齢は、発熱自体が少ない。重い感染症の恐れもあるため、すぐ受診する。困ったら、看護師らが応じる小児医療電話相談「#8000」を使うのもいい。
コロナ禍の中、大人の態度次第で、子どもは不安になる。「『熱がこんなにある』などと取り乱すことがないように」と坂本さんは訴える。同じ学校や保育園など身近な子が発熱した際の対応も大事。コロナを疑った差別的な言動を避け、「早く治るといいね」などと応援する姿勢を示してほしいという。
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