子どもが発熱!すぐに病院!の前に… 小児科医ママに聞く「ネットの医療情報との向き合い方」

 本格的な冬が近づき、風邪やインフルエンザが心配な時期。子どもが熱を出したり、風邪の症状で苦しそうだったりすると「病院に連れて行かなきゃ」と焦りがちです。対処法をネットで検索すると、膨大な情報が出てきてどれを参考にしたら良いのかかえって不安になることも。「小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK」(内外出版社)を書いた森戸やすみ医師(47)に、ネットにあふれる医療情報との向き合い方や、医療機関の上手なかかり方について聞きました。

小児科医の森戸やすみさん

ネットを見るなら「監修・運営」に注意しよう

―子どもの体調が悪そうな時、インターネットサイトや子育てサイトの口コミに頼りたくなります

 参考にするなら、小児科学会など医療の専門家が監修・運営するサイトが良いでしょう(「こどもの救急」「白クマ先生の子ども診療所」など)。要注意なのは体験談に基づいた記事。「どこに遊びに連れて行こうか」「この季節の子どもはどんなファッションが良いか」などの悩みを解決する手段としては良くても、医療に関してはお勧めしません。そのライターの子どもには良かったケアも、自分の子どもに良いとは限りません。医学的根拠のはっきりしない健康食品などの物販に誘導しているサイトも要注意です。

―不確かな情報に振り回されてしまうのは子育てならでは、という気もします

 子どもに万が一のことがあったらどうしようという気持ちがあるからでしょう。最良のことをしてあげたい、しなくてはいけないと思うのが親です。「知っているつもり」にならず、冷静に情報収集できるといいですね。

―夜間などに病院に連れて行くべきかどうか迷うこともあります

 水分を受け付けられず脱水症状になっている時、症状がひどくて眠れない時などは病院に行くべきです。熱があっても元気で食欲もある場合などは、いったん自宅で様子を見てもいいでしょう。夜間や時間外の診療は、地域の医師らが輪番で支えていることが多く、通常の診療時間までの急場をしのぐものです。検査も治療も人手も限られています。自治体によっては相談ダイヤルや、緊急度のポイントをまとめたサイトがあります。参考にした上で、朝まで自宅で様子を見た方がいい場合もあります。

「小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK」森戸やすみ著(内外出版社)

小児科医だって自分の子どもには慌てます

―小児科医である森戸先生も、お子さんの不調に慌ててしまった経験はありますか

 たくさんあります。長女が3歳ぐらいのころ、嘔吐と腹痛、発熱に見舞われ「虫垂炎だったらどうしよう」と焦り、同僚の医師に電話しました。「虫垂炎はその年齢では、相当珍しいよ」と言われ、ハッと冷静になりました。結局、ウイルス性胃腸炎でした。初めてわが子が熱性けいれんを起こした時も「死んでしまうかも」と慌てました。小児科医でも慌てるのですから、そうではない親がうまく判断できないのも無理はありません。病院に連れて行くべきか悩んだ時に参考になるポイントを伝えたいという思いで本を書きました。


―おなかを壊した時に離乳食を食べさせるべきかなど、医師によって指示の内容が違う時もあります。そんな時はどうすればいいですか

 医師の指示について「あれ?」と疑問を感じたら「勉強したいので、どんな本を読んだらいいですか」「どんなサイトを見たらいいですか」などと出典を聞いてみてください。信頼できる医師であれば、ちゃんと答えてくれるはずですし、その場では難しくても「今日は時間がないので次回話しましょう」などと対応してくれると思います。

森戸やすみ

 小児科専門医。12歳、18歳の2女の母。一般小児科、都立病院の新生児集中治療室(NICU)などを経て、現在は「さくらが丘小児科クリニック」(東京都世田谷区)勤務。ネットメディアでの連載もあり、「医療者と非医療者の懸け橋となる記事」の書き手を目指す。子育てなどのブログ「ジャスミンカフェ」も更新中。

 「小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK」内外出版社の紹介ページはこちら

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