園バス置き去りで静岡県が講習会 重大事故の9割以上は「人の危険な行動が関係」
足達優人 (2022年10月3日付 東京新聞朝刊)
静岡県牧之原市の認定こども園で園児が送迎バス内に置き去りにされ死亡した事件を受け、静岡県などは9月26日、県内の幼稚園や保育所などに対して安全管理講習会を開いた。
ルール化・マニュアル化の弊害
講師に常葉大教育学部の木宮敬信教授(安全教育学)を迎え、オンラインで開催。同園の問題点を指摘した上で、安全管理体制の構築に必要な考え方や方法を説明した。
木宮教授は「安全はゼロリスクではない。大きな事故が起きると全リスクを避けようとして、マニュアルやルールをたくさん作りがち。かえって1つ1つがおろそかになる」と指摘。危険がある前提で、人手や金銭面も考慮し、各園で対応が必要なリスクを考え、危機管理マニュアルに反映させることなどを求めた。
他園との比較が改善につながる
木宮教授は過去の研究データから、「重大事故の発生には9割以上、人の危険な行動が関係している」と示した上で、「施設自体の安全管理だけでは事故は防げない。園児や職員の安全教育も必要」と指摘した。
その他にも、事故には至らなかった「ヒヤリ・ハット」が重大事故につながり得るという認識を持つことや、危機管理マニュアルの実効性を担保するために、繰り返し改善する必要性にも言及。「マニュアルの検証に行政や専門機関が加わるのは理想だが、全ての園でできるかというと現実的ではない。他の園のマニュアルと見比べてみると、自分の園で足りていないところなどに気付ける」と提案した。
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