「園児の声がうるさい」と感じる背景に社会的孤立 保育園との交流が途絶え…歓声が「騒音」に

青木孝行 (2022年12月21日付 東京新聞朝刊)
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公園の砂場で遊ぶ子どもたち(本文とは関係ありません)

 長野市で近隣住民の苦情をきっかけに公園が閉鎖になるなど、子どもの声を巡るトラブルは後を絶たない。東京新聞の「ニュースあなた発」にも、保育園の近くに住む東京都世田谷区の女性から「園児の声がうるさい」という訴えが寄せられた。取材を進めると、女性のケースでは苦情の裏に社会的孤立という問題が浮かんできた。

以前は愛着「唯一の地域交流の場」

 女性宅に隣接する保育園は、低層マンションが立ち並ぶ住宅街の一角にあった。平日の昼前、園のフェンス越しに、園児たちが園庭でボールを蹴ったり、追いかけっこしたりている姿が見える。園の外にも「キャッ」「キャッ」とはしゃぎ声が響いていた。

 近くで会社を経営する男性(77)は「園児の声がうるさい? むしろ癒やされるよ」。マンション住民からは「近くの幹線道路を走る車のほうが騒々しい」との反応が返ってきた。

 苦情を訴える女性の一軒家の自宅を訪れると、2階から園庭が見え、窓を閉めていても時折、園児たちの声が聞こえてくる。

 女性の話を聞くと、意外な言葉が返ってきた。「保育園は唯一の地域交流の場だったんです」。かつては園に愛着があったという。

夏祭りに運動会 年末にはお餅を

 女性は1人暮らしで、ここで生まれ育って60年になるという。近くに幹線道路が通ってから、畑ばかりだった一帯は開発が進み一変。新住民が増えるとともに地域のつながりは薄れていった。母の介護のため会社を辞めてから、園との交流に救われた。「夏祭りや運動会に招かれたり、年末にはお餅を届けてくれたりして楽しかった」と振り返る。

 ところが、5年ほど前から園との交流が途絶えるように。それまで気にならなかった園児の声がうるさいと感じるようになったのは、その頃からだ。

 女性は今年10月に母を亡くし、「話し相手がいなくなった」と孤立を深める。たびたび園に苦情を訴える一方で、「せめてあいさつだけでも交わしてほしい」とも語る。

 この話を園に伝えると、担当者は「園児との交流を望んでいたとは思わなかった。コロナが収まったら誘いたい」と話した。園では、地域交流を再開しようと考えていたところに新型コロナが襲ったという。

人間関係から心理的に…「煩音」

 子どもの声を巡っては、区も対応しているが、解決し切れていない。過去には、近隣住民の反対で開園を断念したり、延期したりした園もあった。世田谷区保育課の伊藤祐二課長は「各園には普段から地域と良好な人間関係を築くよう協力を求めているが、苦情はなくならない」と打ち明ける。

 今回の女性の心理を裏付けるようなデータがある。

 厚生労働省が2015年に実施した「人口減少社会に関する意識調査」では、保育園児の声を「騒音」と捉えた人は、「地域活動に不参加」で38.9%、「年数回参加」で29.8%、「月1回参加」で26.0%。地域での交流が少ない人ほど、子どもの声に不寛容な傾向があった。

 橋本典久・八戸工業大名誉教授(音環境工学)は「女性のケースは、人間関係が絡んで心理的に騒音に感じる『煩音(はんおん)』の典型だ。孤独や不安からフラストレーションがたまると、不寛容になりやすい。孤立という現代社会の一面を映している」と分析する。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年12月21日

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  • 仕事一筋57年のおじいちゃん says:

    私は77歳の現役で、幼稚園・保育園の防音塀をメインに仕事をしています。

    昨年にある保育園の防音塀を施工した現場です。保育園の開園以来続いていた園児の声騒音問題解決のために近隣挨拶に行き、長きにわたってご迷惑をおかけした事をお詫びして工事を始めると、今までのわだかまりが無くなり、良き隣人関係が出来上がり、工事内容よりも過去のいきさつを聞き入れる心のゆとりが大きな声騒音問題を解決する手段であることが実証できた現場でありました。

    その後は園とその苦情元の方の交流が始まりお互いから感謝されるようになりました。そのためには園では近隣への情報発信に気を使われて運営もうまくいっていると喜ばれております。

    仕事一筋57年のおじいちゃん 男性 70代以上
  • 未来はないが今がある says:

    保育園の近くに住んでいます。 

    十年ぐらい前から子供たちがお互いに張りあうようにあげだした「キャーッ!」という金切り声は、はっきり言って不快ですし、うるさいと思います。
     
    今までは園内で遊ぶ声、散歩の最中のがやがや声、園のお祭りの際に周辺を廻る子供神輿の「わっしょい!」の掛け声等は、微笑ましく思っていました。 

    しかし最近は遊び声の延長線上にあの金切り声の出し合いが始まると思ってしまい、ストレスを感じるようになりました。 

    また、夕方に迎えに来る親同士がすぐに帰らずに園の前でしばらく話し込むと、子供たちが退屈をして騒ぎ出し、園の周辺にある車止めや、標識などの金属の支柱を叩き始めたりをします。 

    残念なことに最近の親はたいていの場合なにも注意しないので、仕方なく園に「保護者に早く帰るように言ってくれ」と苦情の電話を入れることがあります。 

    しばらくは早く帰るようになるのですが、年度替わりの度にまた始まるので、園では新規の利用者に何も伝えていないのかもしれません。

    以前と比べ子供を預かる時間帯が前後一時間ずつ程長くなっているのも、うるさいと感じ始めた要因かもしれません。
     
    利用者は子供を長く預かってもらえて、園で騒ぎ倒して帰ってくるので、家では少しはおとなしなって助かっているのかもしれませんが。 

    おまけですが、その近所の保育園は子供を預からない日曜日等に、ちょこちょこ工事が入ったりして一年中ほとんど何かしらの騒音を出しています。

    これにはさすがに自治体と、園に直接、「大きな音の出る工事の際は、事前にチラシなどを入れて告知してくれ」と申し入れました。 

    ただ、騒いでいるのは少なくともこの近所では自分だけみたいなようです。 

    当方の近所は高齢者が多いからでしょうか。 

    自分も、もう少し年を取ったら耳が遠くなって(特に高音域が)、気にならなくなるのでしょうか。

    最後に、記事の中にある少し極端な例の、幹線道路の騒音に比べ、、、や、一部にはそういう人もいるだろうなの、社会的な孤立、、、などの内容は、子供の声に絞った見方と感じました。

    なにからの施設があればそれに伴う騒音もあります。 長野市の公園の苦情には日中頻繁に出入りする車の騒音もあったと記憶しています。

    最寄り駅の高架下に子供を預かる施設があります。ひょっとしたらいい解決策かもしれませんね。

    未来はないが今がある 男性 50代

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