「異次元の少子化対策」というが…今の次元に追いつくべきは岸田首相 長年変わらなかった政治家の意識
柏崎智子 (2023年2月12日付 東京新聞朝刊)
記者の仕事を始めて約30年になるが、少子化対策はずっとこの国の課題であり続け、折に触れ記事も書いてきた。その間、政府が無策であったとは言わないが、その場しのぎであったり選挙対策であったりで、流れを止められなかった。「子育ては女性にやらせておけばよい」という政治家側の意識が変わらず、安心して子どもを持てる社会を実現できなかったからだと感じている。
戦後の高度経済成長期が終わった後、自民党は「日本型福祉社会」という考え方を打ち出した。サラリーマン男性を妻が支え、子育てや家事、介護も担う。その分、政府は福祉への支出を抑制できる。保育所増設にブレーキがかかり、後の深刻な待機児童問題を招いた。
低成長の今、片働きで家庭を支えるのはしんどい上、女性が経済力を持たないためのひずみも認識されるようになってきた。社会の次元はとっくに変わっている。岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を打ち出したが、むしろ今の次元へ追いついてほしい、と切に望む。
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