災害時に役立つ「お湯ポチャ料理」 コンロとポリ袋でご飯も炊ける

(2019年1月10日付 東京新聞朝刊)
 地震や豪雨などの災害が発生したとき、都市部では避難所が不足するため、「在宅避難」を余儀なくされることもある。そんなとき、電気やガスが止まると困ることの一つが食事だ。東京ガスは、そんな事態に備えて、カセットコンロとポリ袋を使った調理方法を提案している。17日で阪神大震災から24年になるのを前に、同社が東京都内で開いた体験会に参加した。

「お湯ポチャ料理」で麻婆高野豆腐とご飯を作る今泉マユ子さん=東京都内で

「温かい食べ物が生きる気力に」

 同社が提案するのは、ポリ袋に缶詰や保存食品などを入れて、空気を抜きながら口を結び、お湯で温める「お湯ポチャ料理」。缶詰は、そのままでも食べられるが、体験会の講師を務めた横浜市の管理栄養士今泉マユ子さんは「被災した時、温かい食べ物が生きる気力につながる」と説明する。

 ポリ袋は、熱で穴が開かないよう高密度ポリエチレン製で厚手(0・025ミリ以上)のものか、「耐熱性」や「湯せん調理可」などと表示してあるもの。スーパーなどで販売している。鍋で湯せんするときは、ポリ袋がくっつかないよう鍋底に皿を敷く。

災害時に役立つ調理法を紹介する管理栄養士の今泉マユ子さん

鍋一つで同時調理、節水にもなる

 この調理法なら、一つの鍋で複数の料理を同時に作れる。今泉さんが考案した「麻婆(マーボー)高野豆腐」を作りながら、ご飯も炊ける=レシピ下記。しかも、鍋の水は何度も使えるため節水にもなる。

 東京ガスは、防災食のレシピなどを冊子「こころとおうちに備えて安心『日々のごはんともしものごはん』」にまとめた。同社ホームページから無料でダウンロードできる。

かむ力の弱い乳幼児には…おにぎりも水分加えて食べやすく

 避難所で過ごす場合もポリ袋が役立つ。配られるのは、サンドイッチやおにぎりなど炭水化物が中心。避難生活が長くなると栄養が偏る上、のみ込む力が弱い高齢者には食べにくい。東日本大震災で支援活動に加わった宮城県石巻市の歯科医師、河瀬聡一朗さんは「入れ歯が津波で流されるケースも相次いだ」と話す。

 こうした高齢者や、かむ力の弱い乳幼児向けに、パンなどはちぎってポリ袋へ。乾パンはポリ袋の上からたたいて細かくする。それぞれ水、ココア、牛乳など水分を入れてなじませ、5~15分おけばそしゃくしやすくなる。

 おにぎりは、ポリ袋に入れて水やお湯を加えて粒をつぶすようにもみ、10~20分おく。必要に応じ、備蓄しておいた「とろみ剤」を使用。ツナ缶や野菜ジュースを加えると、栄養価も上がる。

麻婆高野豆腐とご飯。ポリ袋の口を切り、そのまま食器に盛り付けたり(上段)、ラップやホイルを敷いた食器によそったり(下段)すれば、洗い物の負担が減る

ご飯

【材料】
米(無洗米) 1合(150グラム)
水 1カップ(200ミリリットル)

【作り方】
<1>ポリ袋に米と水を入れ、なるべく空気を抜いてねじり上げ、上の方で結ぶ。
<2>皿を敷いた鍋の1/3まで水を張り、(1)を入れる。
<3>ふたをして火を付け、沸騰したら中火にする。20分たったら火を止め、10分蒸らす。

麻婆高野豆腐

【材料】(3人分)
一口高野豆腐 小18個(53グラム)
水 1カップ(200ミリリットル)
レトルト麻婆豆腐のもと 3人分

【作り方】
<1>ポリ袋にすべての材料を入れ、空気を抜いてねじり上げ、上の方で結ぶ。
<2>皿を敷いた鍋の1/3まで水を張り、(1)を入れる。
<3>ふたをして火を付け沸騰したら中火にし、約15分間加熱する。

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