ベビーフード、今後も安定的に手に入る? キユーピーが今年8月に撤退、最大手の「和光堂」に聞くと…

子育て世代を支えるベビーフード
「残念」「困る」利用者から惜しむ声
「大学生と高校生の息子たちが赤ちゃんだった頃、慌ただしい日々の中でキユーピーのベビーフードには本当にお世話になった」と振り返る若林さん。フルタイム勤務で働いていた当時、外出時や平日の食事、祖父母に子どもを預ける時にも活用した。「あの小瓶やパウチがどれほど心強い味方だったか。息子たちがモグモグとおいしそうに食べてくれる姿が、私にとって何よりの安心だった」

キユーピーの発表に、利用者からは「残念」「困る」と惜しむ声が寄せられている
キユーピーのベビーフードは1960年、野菜と果物の缶詰6品目からスタート。瓶詰、レトルトパウチ、カップ容器入りなど72品目にまで拡大したが、昨年6月、販売数の低迷と原材料価格の高騰を理由に撤退を発表。広報担当者は、「価格改定もしたが、品質を維持しながら生産を続けるのが難しいと判断した」と説明。同社には「残念」「困る」と惜しむ声のほか、「似た商品はある?」といった問い合わせも多く届いているという。
「多品種を少量ずつ、安全に」の壁
少子化の中、他のメーカーの動向も気になる。国内最大手で「和光堂」ブランドを展開するアサヒグループ食品(墨田区)に取材すると、昨夏に初めて1歳半~2歳向けの幼児食「ぱくぱくプレキッズ」シリーズを発売するなど、縮小でなく利用者層の拡大を図っているという。新シリーズは、子どもの食べむらや好き嫌いが増える時期と、保護者の育児休業からの復職が重なり、栄養摂取や家事負担に不安を抱える子育て世代の声に応えてのものでもある。

1歳半~2歳向けのシリーズ「ぱくぱくプレキッズ」について説明する高橋岳春さん=東京都墨田区で
同社の担当、高橋岳春さん(49)は「少子化が進む一方で、共働き世帯の増加や育児スタイルの変化により、需要は過去最高水準にある」と現状を話す。2017年から2024年にかけて、売り上げは28%増加した。ただ、「約300という多品種を少数ずつ生産し、厳格な安全管理も必要なため、利益率や製造効率は決して高くない」とも明かす。
単なる商品ではなく、社会的インフラ
日常的に子育て世代を支えるベビーフードだが、大切さがより際立つのは災害時だ。東京都福祉局は、避難所を運営する区市町村向けの「妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン」で、現在の育児においてベビーフードの使用割合が増えている状況に言及。「被災のショックの中で迅速に子どもに食事を与えられることで保護者が心理的に充足する」「成人向け食品は塩分や脂肪分が多くなりがち」と説明し、炊き出しなどの食料調達体制が整うまでの初動期分の備蓄を促している。

一部の自治体は、大手スーパーなどの物販事業者と、災害時などに離乳食を調達・提供してもらう協定を結んでいる
生後6カ月の長男を育てる都内の会社員女性(40)は「災害などいざという時のためにも、メーカーには安心できる品質で、安定的な生産を続けてほしい」と願う。
アサヒグループ食品の高橋さんは言う。「ベビーフードは単なる商品ではなく、親の心を軽くする精神的サポートであり、社会的インフラ。社として、利益だけで測るのではなく、責任を持って支え続けるカテゴリーだと位置付けている」
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