家族写真、子どもの「いい表情」引き出すプロの技 「はいチーズ!」の前後がシャッターチャンス
「子どもの表情が硬い」→家族の会話で和ませて
話を聞いたのは、出張カメラマンとして年間200件以上の家族写真を手掛ける高木智房(ともふさ)さん(44)=東京都江東区、タカギグラフィックアーツ。10月下旬、埼玉県久喜市の鷲宮(わしのみや)神社で、5歳の男の子と両親、祖父母での七五三のお参りを撮影する際に同行させてもらった。
慣れない羽織はかま姿で、最初は少し表情が硬かった男の子。両親と3人で並んで撮影する時、高木さんが脇で見守っていた祖父母に呼びかけた。「おじいちゃん、おばあちゃん、僕の横からお孫さんに話しかけてあげてください。会話するといい表情になるので」
「終わったら何食べたい?」「アイスクリーム!」。祖母の問いに男児の目が輝いた瞬間を逃さず、シャッターを切る。「『はいチーズ』の前後が重要なんです」と高木さん。会話でどれだけ雰囲気を和ませられるかが、子どもの自然な表情を引き出すカギになる。
高木さんは親子に「はいOK!」と声をかけた後も、シャッターを押し続けていた。「撮り終わった」と思い、撮られる側が安心した瞬間は、やわらかく緩んだ表情になるため、実は絶好のシャッターチャンスだという。
小物を使うのも手 わざと落として笑った瞬間を
笑顔を引き出す王道は、縫いぐるみやおもちゃなどを使うこと。撮り手が頭の上に載せてわざと落としたり、「落ちたら教えてね」と声かけをしたりしておくと効果てきめんだ。
子どもを中心にした集合写真を撮る場合は、大人にポーズを取らせておいて、子どもの表情が良いタイミングに合わせてシャッターを切る。カメラの位置も大切だ。大人が立ったまま構えると、子どもを見下ろす構図になってしまう。しゃがんで、子どもの目線か、さらに下の子どもの腰の高さから撮ると、子どもの視線を上手にとらえられる。
まぶしいと渋い表情に 角度や背景を変えてみて
七五三やお宮参りなど神社で撮影する際に気を付けたいのは被写体の立つ場所だ。拝殿を背にした記念撮影は定番だが、多くは南向きに立っており、写る人も南を向くことになるので、太陽の光がまぶしくて渋い表情になりがち。撮る角度を変えたり、神社の雰囲気が伝わる別の背景を探したりして、よりよい表情で写るようにしたい。
かしこまらず自然なシーンを撮りたいときは、子どもを歩かせるとよい。周りの大人が話しかけながら、いつもよりゆっくりめに歩いてもらい、撮影者は10~15メートル前方から狙う。子どもだけなら「向こうまで行って、走って戻ってきて」と声をかけてもよい。
いかに「撮られてる」と意識させないか、が勝負
「いかに『撮られてる』と子どもに意識させないかが勝負ですね」と高木さん。スマホで撮る場合は、画面をのぞき込まず、話しかけながらこっそりシャッターボタンを押して撮る裏技も。その際に、余白を広めに取っておくと、多少写る位置がずれても、後からトリミングで調整できる。このテクニックは集合写真を撮るときにも有効だ。
最後に、家族写真は撮る人が偏りがち。「パパ(ママ)の写った写真が1枚もない!」とならないようカメラマンはぜひ交代で。
七五三、お宮参りでのおすすめシーンは?
高木さんおすすめの「押さえておきたい、とっておきのシーン」を紹介する。
<七五三:手水舎でのシーン>
<七五三:拝殿で手を合わせるシーン>
<お宮参り:家族で赤ちゃんを囲むシーン>
高木智房(たかぎ・ともふさ)さん
1975年生まれ。出張撮影もこなすカメラマン。タカギグラフィックアーツ代表。得意ジャンルは家族写真。特技は、変顔で子どもたちを笑わせること、子どもとすぐに仲良くなれること。
プロの手を借りる選択肢も
七五三やお宮参りなど節目での写真は、親子にとって一生の記念になる。ただ親にとっては、小さい子どもの機嫌や身の回りのお世話もあり、当日は余裕がなくなりがち。そんな時は、思いきって出張カメラマンなど、プロの手を借りる選択肢もある。
生活サービスのマッチングサイト「くらしのマーケット」を運営する「みんなのマーケット」社によると、カメラマンによる出張撮影の需要は右肩上がりで、2019年1~10月は2017年同期と比べ約6倍(同社比)となっている。同社広報の小滝万結さんによると、「くらしのマーケット」の「出張撮影・カメラマン」の一般的な価格帯は1時間当たり8000円~2万5000円で、依頼者には撮影した全データ(ミスショットを除く)が納品される。小滝さんは「イメージに合う写真を撮ってもらうためには、サイト上で紹介されている事例写真や利用者の口コミを参考にして」とアドバイスする。
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