電動アシスト自転車の事故が増加 総重量は100kg超、死亡例も… 歩道での注意点は?

(2020年1月11日付 東京新聞夕刊に一部加筆)
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前後の子どもにヘルメットをかぶせ、安全運転を心がけて電動アシスト自転車で走る母親=東京都内で(奥野斐撮影)

 便利な電動アシスト自転車が普及する中、東京新聞にはさまざまな意見が寄せられています。前後に子どもを乗せて走る女性に2度も当て逃げされたという男性からの投稿のほか、幼児がいる母親からは「子育て世代がどう自転車と付き合えばいいのか知りたい」との声も。自転車と親子の体重を合わせると重さが100キロを超える場合もあります。運転を誤れば重大事故の危険性もあります。注意点などをあらためて取材しました。 

接触事故で2度被害の男性「狭い歩道は今も恐怖」

 危険な体験について昨年11月に投稿したのは東京都世田谷区の無職前川恒久さん(75)。直接会って話を聞いた。

 最初の被害は5年前。自宅近くの環七通りにあるスーパー前の歩道で、正面から来た電動アシスト自転車とぶつかった。歩道は買い物客の駐輪にふさがれ、通行できる幅は1メートル弱。幸い後ろの人が支えてくれたため軽い打撲で済んだ。

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読者の前川恒久さんが衝突事故に遭った歩道=東京都世田谷区で(昨年11月29日、小形佳奈撮影)

 2度目は昨夏。商店街で再び子連れの自転車に当てられ倒れた。「狭い歩道を飛ばす自転車には今も恐怖を感じる」と言う。

本体30kg超、高い重心 倒れやすく小回り利かず

 この投稿を読んだ同区の並木朋恵さん(32)は1歳児の母親で、区が開いた「初めての子育て自転車」講座の体験記を投稿した。「電動アシスト自転車の重さに驚いた。子どもがもう少し大きくなるまで乗るのを見送る。自転車との付き合い方を報道して」とつづった。

 講座の内容の一部を記者も体験した。

 座席前後に幼児に見立てた10キロずつのおもりを乗せた電動アシスト自転車を使い、特性や操作のこつを学ぶ。ペダルをこぐとその走りをモーターが補助するため、こぎ始めや上り坂での負担が少ないが、一方で重心が高く倒れやすく、小回りが利かない。

 斜めになった自転車を支えた際に、腕や脚にかなりの負担がかかった。前後に幼児用座席を付けた自転車本体の重さは30キロ超。5歳児なら体重は平均20キロ近くなる。

販売台数とともに事故が増加 頭部損傷で死亡も

 世田谷区交通安全自転車課の福島恵一係長は「親と合わせて重さは100キロを超す。急ハンドルや急ブレーキをしない運転を心がけてほしい」とアドバイスする。

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 電動アシスト自転車は販売台数を伸ばす中、事故も増えている。警察庁によると、2018年に起きた自転車関連事故は8万5641件と10年前に比べてほぼ半減。しかし電動アシスト関連は2243件と2倍に増えている。死亡事故の割合も高い。

 全国で安全教室を開く自転車安全利用コンサルタントの北方真起さん(41)は「購入前に必ず試乗し、親が一人で乗って慣れてから子どもを乗せる。死亡事故の多くが頭部損傷によるもの。必ずヘルメットをかぶせて」と呼び掛ける。

車道が原則 歩道は「車道寄りを徐行」がルール

 また、道路交通法は車道での安全確保が難しい場合は自転車の歩道通行を認めているが、「車道寄りを徐行するのが決まりです」。

 自転車を選ぶ際は、一般社団法人自転車協会の安全基準に適合した「BAAマーク」、前後に子どもを乗せるなら「幼児2人同乗認証マーク」が付いているか確認を。北方さんは自転車保険の加入も勧める。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年1月11日

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  • 鶯の友達 says:

    自転車の追い越しは難しいと思います。前方に居る自転車を後方から追い越す時一般自転車だと大変ですが、加速を容易に出来る電動アシストだと容易に出来るためついやってしまいそうですが危険です。追い越す瞬間から離れる時に真空になり相手を引き寄せます。追い越す時はゆっくりとお願いします。

    鶯の友達 男性 60代
  • 匿名 says:

    日本の道路は狭い。ほんの少し歩道があれば良い方で、そもそも自転車が乗り物として機能するような状況では無いのだ。国土交通省をはじめとする道路整備に関わっている方々は、現状をよくご存じのはずである。ならば、一年中日本のどこかで間断なく掘り返されている道路整備の際に自転車専用スペースを設ければ良いと思うのだが、それも物理的に不可能である。加えて記事にもあるように、多くの自転車運転者の交通ルール遵守の姿勢がなっていない。他の記事でも報告されていたが、イヤホンを耳に入れて音楽を聴きながら運転する。わざわざ自己(事故)の危険性を増やしているのだ。さらには電動キックボードの認可もある。何から手を付けていいのか呆然とするばかりであるが、まずは我々全員の公衆道徳の見直しから始めなくてはならないのではないか?

  • 匿名 says:

    「みんなやっている。だから私もやっていい。」(正当化)
    「法律は政治家が勝手に決めたこと」(法治国家におけるモラルの欠如)
    「事故を起こしたのはたまたまで、いつもなら平気だった」(リスク管理意識の欠如)

    おそらく無意識に、みんなで自転車の危険運転を容認している。私は法律でやるよりも、メディアに連日報道してもらった方が効果あると思います。自転車の危険運転については、まだまだ世論が形成されていないと思いますね。むしろ罰則の適用されない形だけの法律によってナァナァになってはいませんか。

    自転車側
    ・自転車は歩行者だと思っている。
    ・子供がいれば大概のことは許されると思っている(ママによくある厚顔無恥)
    ・自分たちは自由に、どこを走ってもいいと思っている
    ・時間を惜しんで爆走することが、「優れた時間の使い方」だと思っている。
    ・法律どおりに車道を走っているんだ、クルマは文句言うな。私は正しい!…と思っている。

    自動車側
    ・道路交通法の改正により、自転車が邪魔であることが当たり前になったと受け入れられない
    ・自転車は歩行者だと思っている
    ・これらに付随した見当違いな行動の数々
     「あの自転車、クルマの信号で直進してきやがった!俺は右折するのに危ねぇんだよ!俺が先だ!プーーー!!(クラクション)」

    制度側
    ・自転車への罰則が適用できていない
    ・実際は自転車の違反があっても通報されない
    ・通報したところでナンバープレートもない
    ・ぶっちゃけ都心のインフラ状況(クルマでギリギリの狭い道路、環八などに自転車で走る)で自転車の車道走行は無理がある。法改正も形骸化。
    ・道路交通法を知らない人に対して、道路交通法の改正が効果あると思っている。

    安全を訴える側
    ・全員ヘルメットをしようなどとおかしなことを言い出す(非現実的)
    ・事故の背景には歩行者側の注意不足もある(自身の棚上げ、自己弁護のための非難)

    個人的には
     車道走行の義務化はロードバイクのみ。
     全自転車にスピードメーターの義務化
     ロードバイク以外の自転車に対し速度制限(強制的に15km/hまで)
     歩道走行時の徐行(5-10km/h)義務化
     自転車に他の人間を載せることの禁止(子供であっても)
     電動自転車に対する免許制度と罰則の強化
     自転車用ライトの規制(照度、光源から直接照射の禁止)
    ですかね。

     男性 40代
  • 歩道は無法地帯 says:

    ママチャリに電動アシストで子供乗せて歩道を走っているおがほとんどで、道路に自転車の通行帯があっても走らないです。
    電動補助動力で重たい上にスピードが出るし、こんな危険なものを誰が許可したのか。原付きと一緒で歩道は通行禁止にしてほしいです。当然、事故が増える訳だなと思いました。

    今日、後ろから着たママチャリはかなりのスピードで自分の横ギリギリをすり抜けていきました。
    もし後ろから当てられたらと思うとゾッとしました。

    歩道は無法地帯 男性 60代
  • いの says:

    原動機付自転車ですら二人乗りは禁止、通常の自転車も同様なのに、三人乗りが許容され、しかも歩道を爆走するなど常軌を逸している。
    法律を改正するべき。三輪や牽引式のみ複数乗車可能とするのがよい。
    歩道は歩行者のものという原則を無視している、もしくは真逆にとらえている人間が多すぎる。

    いの 男性 50代

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