「#神待ち」女子中高生の誘拐被害が急増 家にいづらい子の居場所がコロナ禍で失われ… 援助を装う男から性被害も
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埼玉県では9月までで25件 最多だった年をすでに上回る
埼玉県警によると、今年1~9月に認知した未成年者誘拐事案は25件で、昨年1年間の10件を大幅に上回る。2015~2019年で最多が2016年の15件だったことからも、今年の急増ぶりがうかがえる。
特に多いのが、ツイッターなどSNSに家出願望を投稿した女子中高生に、男が連絡を取って自宅やホテルに誘い出すパターン。未成年の少女らが、寝泊まりする場所や飲食などを提供してくれる相手をSNSで探す行為は「神待ち」と呼ばれ、こうした投稿は後を絶たない。
一斉休校で、家で安心して過ごせない少女が追い詰められ
東京を拠点に、家出した10代の少女たちの保護などに取り組む一般社団法人「Colabo(コラボ)」には、学校が一斉休校となった3月以降、少女たちからの相談が約800件寄せられている。昨年1年間の相談件数は約550件といい、仁藤夢乃(ゆめの)代表(30)は「家で安心して過ごせない子どもたちが切羽詰まっている」と話す。
仁藤代表は「親からの虐待や過干渉などで、家にいづらい子はもともと多かった」と指摘する。そうした少女らは学校やアルバイトなど家の外に居場所を作っていたが、コロナ禍で外出の機会が減った。さらに親もリモートワークや休業で家にいるようになり、子どもがストレスのはけ口となるリスクが高まったことも、少女たちを追い詰めたとみる。
「僕は変なことしません」と誘われ、性被害に遭うことも
「女の子たちが困っている状況を知った上で、援助を装ってアプローチする男が増えている」と仁藤代表。「ネットで知り合った相手についていくのは危険だと思っても、家にもいられずに絶望的な気持ちになり、男に頼るしかないと思ってしまう子も多い」と少女たちが置かれている状況の難しさを説明する。「僕は変なことしません」などの言葉で誘われた少女が、性被害に遭うことも珍しくないという。最近は北海道など地方から東京に家出してくる少女も多く、全国的な問題だと訴える。
警察の相談ダイヤルや児童相談所など公的な相談窓口も存在するが、仁藤代表は「多くは窓口で待っていて『来たら話を聞く』というスタンス。自分からこうした機関にアクセスしない子が被害に遭っている」と問題点を挙げる。「自治体や児童相談所の予算と人員を充実させ、夜の街に出て子どもたちの話を聞く専門の職員をつくる必要がある。夜に駆け込める青少年シェルターも全国各地に設けてほしい」と強く求める。
「みんなやってるから怖くない」の心理…危険性の教育を
元検事で被害者支援にも取り組む高橋麻理弁護士(44)は、「SNSで神待ちの書き込みが当たり前に見られることで、少女たちも『みんなやってるから怖くない』と手を出してしまう面もある」と指摘する。
「神待ち」をやめさせるため、愛知県警などは関連の投稿に警告メッセージを送っており、高橋弁護士はそうした警察による取り組みに加えて「危険性について学校で教育することが効果的だ」としている。
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