子は親の鏡といいますか…ふとした関西弁に反省〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉

(2021年1月8日付 東京新聞朝刊)

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 「一日中はいてた靴下をさ、脱いで布団に入ったら気持ちいいよね?」

 大みそか、紅白歌合戦を最後まで見ようと頑張っていた長男が、途中で、とうとう睡魔に負けて布団に入り、半分寝ながら言った2020年、締めくくりの言葉。さぞかしすてきな初夢を見たことだろう。

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ところで、今年の正月は大阪の実家には帰らなかった。コロナのこともあるし、四男も生まれたばかりなので帰郷しないことにした。「孫のいないお正月は、何をしていいかわからんわ」と父がぼやいていたが、しょうがない。

 僕が大阪の出身だと言うと、「やっぱり、お子さんも関西弁ですか?」と聞かれることがあるが、「学校がこっちなんで関西弁出ませんよ」と答えている。

 でも、本当は出る。

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 しかも、嫌なことに、兄弟げんかの時に出る。帰国子女の人が、横文字の時に無意識に発音が良くなってしまうように、薄れたはずの僕の関西弁が、子どもを叱る時に余計に出て、悪影響したものと思われる。

 「われ、ええかげんにしとかな、しらんぞ~あほ~」なんて、子どもが言っているのを聞くと(実際はここまでひどくないけど)、子は親の鏡といいますか、そんなふうに感情で怒ってしまっているんだろう自分を反省するばかりです。

 早くコロナが収まって、家族で大阪行って、落語家の桂米朝さんのような柔らかくて、上品な関西弁に触れてほしいなとお父ちゃん思ってんねんで。ほんま。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

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 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(リトルモア)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。10歳、7歳、3歳、0歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。

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