ポケモンカードにハマった記者が、公式大会優勝の棋士に勝った! 無限の戦法、戦い方が魅力
絶妙なゲームバランスと戦略性に驚き
42歳の記者がポケカにハマったのは昨年夏。長男の6歳の誕生日にプレゼントしたのがきっかけだった。コロナ禍で自宅での時間が長く、家族と何度も対戦した。驚いたのはゲームバランスの絶妙さと戦略性の高さ。今は新商品の情報をチェックし、カードショップにも足を運ぶなど、のめり込んでいる。
藤井九段も息子の影響で興味を抱いたという。「棋士や女流棋士の間で流行していて誘われた。大学でポケモンサークルに入っていた息子にルールを教わり、やってみたら、いろいろ考えるのが楽しくて」。2019年には公式大会で優勝するなど、今やポケカ愛好者の間でも知られた存在だ。
対戦前の「デッキ」づくりも勝負の要
ポケカの勝負は、対戦の卓に着く前から始まっている。無数にあるカードの中から60枚を選び、「デッキ」と呼ばれる自分だけのカードセットをつくる。これが非常に重要で、楽しいところでもある。「1枚のカードを入れるか入れないかで、戦い方が全然変わる。大会の前の晩はいつも、どんなデッキで挑むか悩んでいる」と藤井九段。将棋でも画期的な新戦術「藤井システム」を編み出した研究家は、ポケカ研究にも余念がないようだ。
早速、一戦お願いすることに。家族以外の人と対戦するのは初めてで、カードを切る手が少し震える。対戦中は相手のカードも切る必要があるが、このご時世、人の物に触れるのは気を使う。代わりに「上から3枚、下に送ってください」と指定すればいい、と藤井九段が教えてくれた。間にアクリル板を置くなど、感染対策を取りつつプレーすることは十分可能そうだ。
さあ試合開始。複数種類いるポケモンをうまく山札から持ってくることができ、強いポケモンに「進化」させて有利に立てた。対する藤井九段はポケモンを進化させられず、苦しそうな表情。「ここが勝負どころ」と長考に沈んだ。将棋のように何手も先を読んでいるのか、待つこちらも緊張感が高まる。ルールはなかなか複雑で、頭を使うゲーム性は将棋やマージャンに近いかもしれない。
親子のコミュニケーションツールにも
しかし藤井九段の作戦は不発に。こちらのポケモンも倒されたが、反撃が決まり勝つことができた。「息子さんとやり込んでますね」とお褒めの言葉もいただいた。対戦後は感想戦も盛り上がる。藤井九段は、最初に山札からよけて伏せる「サイド」と呼ばれる6枚のカードに重要なポケモンが軒並み追いやられ、苦戦したようだ。力量の差を運で挽回できるのも、ポケカの魅力の一つだろう。
コロナ禍で「対戦は久しぶりだった」という藤井九段。その後も、好きなポケモンやお薦めのデッキなど、話題が尽きない。「今は大会が中止になっているのが残念。カード好きが集まって、わいわいプレーできる日が待ち遠しい」と再戦を誓い合った。
「会話の少なくなっていた息子と、今はポケカの話題で盛り上がっている」と藤井九段も語るように、ポケカは格好のコミュニケーションツールでもある。記者も家族と一緒に、腕に磨きを掛けていきたいと思った。
(1)両者、60枚のカードでつくったデッキを用意する
(2)自分のデッキから手札を7枚引き、手札からポケモン1匹をバトル場に出す
(3)サイドに6枚を伏せて置き、残りは山札にして、対戦開始
(4)手番の人が山札から1枚引く
(5)ベンチにポケモンを出したり、ポケモンにエネルギーをつけたりして、戦いの準備をする
(6)ワザを使って相手ポケモンに攻撃したら自分の番が終了
(7)相手ポケモンがきぜつしたら、サイドからそのポケモンごとに定められた枚数(1~3枚)を手札に加える
(8)交互に(4)~(7)を繰り返し、サイドの6枚をすべて取った人の勝ち
カードの種類
ポケモン
それぞれ固有のワザや効果を持ち、バトル場に出て戦う。攻撃されてHP(エイチピー)がゼロになると「きぜつ」する。「進化」して強くなることも。
エネルギー
ポケモンにつけることでワザが使えるようになる。ポケモンと同じく、みず、かみなり、ほのおなどのタイプに分かれている。
トレーナーズ
さまざまな効果で戦いを手助けする。「サポート」「グッズ」「スタジアム」の3種があり、グッズは自分の番に何回でも使える。
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ポケモン(ポケットモンスター)
1996年から始まったゲームシリーズ。ピカチュウなどさまざまなポケモンを捕まえて育成し、対戦する内容。ゲームソフトを原点にカードゲーム、アニメ、アプリ、キャラクター商品など幅広く展開され、世界中で人気を集める。ポケモンカードゲームも1996年の発売。国内外で公式大会が開催され、美麗なカードを収集するコレクターも。国内では新商品が入手しづらい状態が続いており、販売するポケモン社は「製造態勢の強化を継続して実施する」としている。
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