子どものバランス能力がコロナ禍で低下「大股歩きだとふらつく」 激しい運動が減った影響か 名古屋大など調査

今井智文 (2022年11月21日付 東京新聞夕刊)
 新型コロナウイルスの流行前と流行中の子どもの運動能力を比べると、体を動かす時にバランスを取る能力が低下したことが、名古屋大と愛知県三河青い鳥医療療育センター(岡崎市)の調査で分かった。鬼ごっこやサッカーなど、激しい運動の機会が減ったことが影響したとみられる。
イラスト コロナ禍前と流行中の運動能力の調査・比較(岡崎市の子ども40人)

本来は成長で能力が上がるのに

 センターなどは、コロナ禍前の2018年1月から2020年3月まで、岡崎市内の小学生437人を対象に、運動能力などを調べる検診を行ってきた。コロナ禍の影響を調べるため、この中から現在は9~15歳になった40人に、2020年6月~2022年6月に再び同じ検診を実施。筋力や歩行速度を測定し、睡眠時間のアンケートなどで影響を調べた。

 その結果、できるだけ大股で2歩歩いた時の長さを測る「2ステップテスト」では、流行前は平均で歩幅が身長の1.6倍だったが、流行中は1.55倍に悪化。本来は成長によって能力が上がるはずだが、バランスが取れず、ふらつく子がいた。

転倒でケガしやすくなるリスク

 このテストでは、バランスを取りながら体を動かす能力を測ることができる。聞き取り調査では、屋外で遊ぶ時間は減っていなかった。センターの伊藤忠(ただし)専任研究員(保健医療学)は「筋力は維持できているが、子ども同士でぶつかり合うような激しい運動ができず、体を動かす時のバランス能力が落ちた」と分析。バランスが悪いとふらついて転倒するなどしてけがをしやすくなり、注意が必要と話す。

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「バランスが悪いとけがをしやすくなり注意が必要」と話す伊藤忠専任研究員=岡崎市の県三河青い鳥医療療育センターで

 他には、座ったり立ったりを5回行い時間を測定するテストや、できるだけ長く片脚立ちするテスト、歩く速さを測るテストを実施。足の筋力や動いていない時のバランス、歩く能力を見たが、はっきりした変化は見られなかった。

睡眠時間が減り体脂肪率は増加

 伊藤さんは家庭でできるバランス能力強化について「2人がそれぞれ片脚立ちになって押し合う『片脚相撲』は、親子やきょうだいで楽しみながら取り組める」と提案する。床にテープなどで目印をいくつか作り、片脚ずつぴょんぴょんと跳ねながら進む「ステップ運動」も良いという。名大とセンターは今後、バランス能力を補う運動教室の実施を計画している。

 アンケートでは、テレビや動画の平均視聴時間が1日1.8時間から2.7時間に増加。睡眠時間は8.7時間から8時間に減った。体脂肪率の平均は13.2%から16.7%に3.5ポイント増えていた。自宅で過ごしている時も、体を動かしていないことがうかがえた。

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